小林化工、最長の業務停止処分へ 睡眠剤混入問題で福井県
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医薬品メーカーの「小林化工」が製造販売している「経口抗真菌薬」に、同じ工場で製造している「睡眠薬」の薬効成分が高濃度に混入し、服用患者さんから死亡例を含む事故や予期せぬ「睡眠薬」による交通事故が頻発しました。今回の行政処分は、過去に例がない非常に重い処分となっています。製薬企業の責任は重く、被害を受けられた方には非常にお気の毒に思います。
医薬品を製造する際、製造業者等は、GMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる国際基準に基づきつくられた「手順書」を厳守しなければなりません。単に「原料の入手先が異なる」「製造機械を更新した」などといった軽微な変更でも、再度変更許可を受けなければ「違反」となることがあります。他の商品で見られる「予告なく改良される場合があります」ということは、医薬品ではありえません。手順を変えて製造することによって起こる想定外の健康被害をできるだけ防ぐことや、今回のようなヒューマンエラー(混合ミス)の危険を極限まで減らすことが優先されます。
今回の直接原因は「他の医薬品用の原末を誤って混ぜた」というヒューマンエラーによるものですが、規定された手順書を遵守すれば当然に防げるミスが防げなかったこと、製造部門から独立した品質部門が機能していなかったことなどから判断して、企業責任が重く受け止められたこと、および、実際に被害にあわれた人数や程度を勘案して、非常に重い処分が決定されています。医薬品の性質上副作用はゼロにはできませんが、この種の事故は絶対に起こしてはなりません。
医薬品等製造販売業・製造業許可は都道府県知事に許認可権があるため、所在地の福井県が処分を行うことになります。同程度の処分にせざるを得ないのは、許認可権を都道府県にやってるとはいえ、本省のジレンマでしょう。個人的には旧化血研、現KMバイオの状況を見て自ら襟をただしていただきたかった。