2021/1/23

【下山進】アルツハイマー病は、治る病気になるかもしれない

NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
認知症患者のおよそ半数を占めるとされるアルツハイマー病。冒された人は、記憶や思考の能力を失い、やがては大切な家族の顔さえも忘れていく。
この深刻な病に苦しむ多くの患者や家族にとって、希望の光になるかもしれない薬が今、正念場を迎えている。米国で3月7日までに、日米の製薬企業が共同開発した初の根本治療薬「アデュカヌマブ」の承認の可否が示されるのだ。
世界の注目を集めるFDA(米食品医薬品局)の結論を目前に、研究の草創期からの人類の苦闘の歴史を追った大型ノンフィクションが誕生した。
『アルツハイマー征服』。足掛け18年に及ぶ取材を基に、病気の解明までの長い道のりを、日本・米国・欧州の科学者や医師、患者やその家族らが織り成す幾多の人間ドラマとして描いた作品だ。
著者の下山進氏が、本書の見どころや、科学や医療を題材にしたノンフィクションの意義を熱く語った。
下山進(しもやま・すすむ) ノンフィクション作家
1962年、東京都生まれ。1986年、早稲田大学政治経済学部卒業、文藝春秋社入社。1993年、米コロンビア大学ジャーナリズム・スクール国際報道上級課程修了。編集者として国内外の優れたノンフィクション作品を世に送り出し、2019年に文藝春秋社を退職。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、上智大学文学部新聞学科でメディアに関する調査型の講座を持つ。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』(丸善)、『勝負の分かれ目』(KADOKAWA)、『2050年のメディア』(文藝春秋)。