[東京 21日 ロイター] - 政府は21日、日銀の政策委員会審議委員に専修大学教授の野口旭氏を充てる人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。各党が賛否を決めた上で、衆参両院の本会議で採決される見通し。リフレ派として知られる野口氏は、3月末に退任する桜井真委員の後任。

野口氏は1958年、北海道生まれ。82年東京大学経済学部卒業。88年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学、同年専修大学経済学部講師。助教授を経て、教授。

従来から大規模な金融緩和と財政出動を主張し、アベノミクスを評価しつつも消費増税には慎重で、2%の物価目標達成前に消費税率を10%に引き上げるのには反対だった。自民党金融調査会で現代貨幣理論(MMT)の勉強会に講師として招かれたこともある。

あるシンクタンク系エコノミストは野口氏をリフレ派と評した上で、「今後、(新型コロナウイルスの)ワクチン普及とともに景気が回復した場合に、テーパリングなど金融政策の正常化観測が浮上する可能性があるが、早過ぎる思惑が出るのを抑えるような人事と言える」と指摘。「株式など金融市場にバブル的な兆候が多少出たとしても、雇用面を重視し、金融緩和を続けるということを示したいのではないか」と語った。

野口氏は主な著書に「世界は危機を克服する-ケインズ主義2.0」、「経済学を知らないエコノミストたち」などがある。

*内容を追加しました。

(竹本能文 取材協力:伊賀大記 編集:田中志保)