[ソウル 18日 ロイター] - 韓国サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が前大統領の知人への贈賄罪に問われた差し戻し控訴審で、ソウル高裁は18日、懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。

李副会長は再び収監され、サムスン電子の主要な意思決定や、昨年10月に死去した父の李健煕(イ・ゴンヒ)会長からの継承プロセスに関与できなくなる。サムスンはトップ不在に陥る。

同氏は朴槿恵前大統領の知人に賄賂を提供した罪などに問われ、一審で懲役5年の実刑判決を受けて2017年に収監されたが、二審で執行猶予が付いたため、1年間の服役を経て18年に釈放された。

最高裁はその後、二審判決を破棄し、高裁に審理を差し戻した。

ソウル高裁は、李副会長に対し、総額86億ウォン(780万ドル)の贈賄、横領、犯罪収益の隠蔽で有罪判決を言い渡した。サムソンが昨年初めに設置した独立コンプライアンス委員会がまだ完全には機能していないとの判断も示した。

李副会長の弁護人は記者団に「前大統領の権力乱用で、企業の自由や財産権が侵害されたことが事の本質だ。事の本質を踏まえると、判決は遺憾だ」と述べた。

李副会長は7日以内に最高裁に上告できるが、法律の専門家は、すでに最高裁が差し戻しの判断を示しているため、法の解釈が変わる可能性は低いと指摘している。

判決を受け、サムスン電子株は3.4%下落。ここ5カ月で最大の下げとなった。系列企業のサムスン物産は6.8%下落した。

アナリストは、サムスン電子の通常業務には影響がないとの見解で一致。ただ、企業買収や幹部人事などの決定事項への影響は数年が経過した後でなければ判明しないかも知れないとの見方を示している。

調査会社チェボル(財閥)・ドットコムの代表は「李副会長の再収監は、現時点での経営の阻害要因とはならないだろう。父の李健煕会長の時代とは違い、組織的に運営され、意思決定は各事業の最高経営責任者(CEO)に任されているからだ。ただ、李副会長の人物イメージに傷がつくほか、将来の投資や事業再編といった長期戦略がストップする可能性がある」と指摘した。

経済団体、全国経済人連合会の幹部は「長期的に経営者が不在となることは、新規事業参入や意思決定などの遅れをもたらし、国際競争に遅れを取ることにつながる」と指摘した。

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