2021/1/12

【迫真】冷戦時代の「スパイ衛星」が暴く気候変動の爪痕

「コロナ計画」の置き土産
「木を見て森を見ず」という成句は、ミハイ・ニツァにとって単なる口語表現ではない。それはまさに彼の仕事を妨げる状況を意味している。
「自分の目では、森に入っても周囲100メートルの範囲にある木しか見えません」と言うニツァは、ルーマニアのブラショフにあるトランシルバニア大学の森林エンジニア。
ニツァの研究のテーマ、すなわち東ヨーロッパの森林の歴史は、視覚による情報よりもはるかに広く、より遠くを見通す力がなければ成り立たない。「1950年ごろ、ことによると1世紀も前に何が起こったのかを見通す必要があります」と、ニツァは言う。「私たちは空から地上を見る目を必要としていました」
ニツァのように森林を管理する人々は長い間、土地の歴史を描くにあたって、正確さを期待できない地図と昔ながらの樹木の目録に頼らざるをえなかった。
だが今、彼らにはアメリカによる20世紀の偵察衛星プログラム「コロナ計画」が生み出した鳥瞰(ちょうかん)図がある。
コロナ計画とは、ソビエト軍の秘密を衛星軌道から探る試みで、1960年代から70年代にかけていくつもの衛星が秘密裏に打ち上げられた。その過程で、軌道に乗った偵察衛星は約85万枚の画像を撮影したが、1990年代半ばまで国家機密扱いされていた。
コロナ衛星の打ち上げ(National Reconnaissance Office via The New York Times)
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