(ブルームバーグ): オリックスは、スペインの環境エネルギー会社エラワン・エナジーを買収する。事情に詳しい複数の関係者が、匿名を条件に明らかにした。発行済み株式の80%を取得する予定で、その後の増資と合わせて約1000億円を投じる。オリックスは成長分野である環境事業への傾斜を強めており、今回の買収で世界展開を加速させる。

エラワンは非上場企業で、関係者らによると、オリックスは、エラワンの支配株主で自動車プレス部品メーカー大手、ゲスタンプ・オートモーションなどを傘下に持つ持ち株会社エーセックと、創業社長のディオニシオ・フェルナンデス氏らから株式を譲り受ける。残りの20%はエーセックとフェルナンデス氏が継続保有する見通し。

エラワンは、欧州を中心に北米、南米など14カ国で風力と太陽光発電所の建設・運営を手掛けている。これまで設備容量2.9ギガワット(GW)分の開発を行ってきた一方、手持ち案件のパイプラインは同10GW超と急成長を見込む。オリックスの再生可能エネルギー事業にとって、グローバルに展開する企業の子会社化は初めてで、同社を海外戦略の要としたい意向だ。

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が公表している2020年エネルギー見通しによると、風力や太陽光などの再生可能エネルギーは50年に世界の発電の69%を占めるようになる。各国政府や投資家がESG(環境・社会・企業統治)への関心を強める中で関連産業は急成長している。

オリックスの20年4-9月期(上期)連結決算によると、セグメント利益合計額に占める環境エネルギー事業の割合は、前年同期(3.5%)の3倍近い9.4%に増加。新型コロナウイルス感染拡大の影響でホテル・旅館運営や航空機リースが打撃を受ける中、安定収益が見込める分野として存在感を増している。9月には、インドの環境エネルギー大手への約2割の出資を発表するなど事業拡大を進めている。

オリックス広報担当の金岡優佳氏はコメントを控えた。エーセックに電話をかけたが、クリスマスの祝日のため回答は得られなかった。

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