中国がアリババを調査、独占的慣行の疑いで-アントも呼び出し
コメント
注目のコメント
国際比較や中国政治の話は他専門家に委ねるとして、こうした国家によるIT巨人への規制が、中国のベンチャー投資/イノベーションにどういう影響があるか?の点でコメントしたい
結論としては、プラス/マイナス均すと、日本の我々が思うほどは影響がないのでは?と思う
なお、やや乱暴に言うと「業界初期は放置 → 大手に収斂したら規制」は今に始まった話でないことも付言しておく
(以下、色々ある中で個人的に大きいと思う要素を抜粋)
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プラス
・ベンチャーの新たな成長機会
-VC業界/起業家の中には「大手への規制で新興企業
の発展空間が拡大している」と歓迎する向きすらある
マイナス
・IT巨人によるエコシステム投資が鈍る
-大量資金投入でtoCのWinner Takes Allを狙うような
ビジネスモデルイノベーション型は、やりにくくなる
-投資原資となるキャッシュフローも各社弱含む可能性
※ IT巨人の投資は今後はtoBや技術イノベーション型の
投資にシフトしていくと言う見方もある
(昨日、北京のVCともちょうどそんな話を議論した)
ニュートラル(?)
・起業家/投資家のモチベーション
-そもそも政府に干渉/管理されるステージ(市場規模/
企業価値にして兆円レベル?)に達する企業は全体
から見ると一部
-そこに達するまでに数多くの起業家・投資家が少なく
ない自己実現・金銭的リターンを享受している
(私みたいな凡人は仮に50→500〜5,000億円の放任
ステージで投資成功するだけで舞い上がるだろう...)
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個人的には、「放任ステージ」(今は政府も放置するしかない)にある業界初期/ベンチャー段階に対して、何かしらコントロール出来る手法が登場してしまったら、その時にベンチャー投資/イノベーションが本当に下火になってしまうのでは?と危惧している
参考コメント
https://newspicks.com/news/5477604/「ジャック・マーは海外渡航しないよう言い渡された模様―。」アントは旧武富士と楽天が合体し、サラ金とクレカ与信をバランスシートを使わずに急成長させたような会社です。1.7兆元(=27兆円)にまで積みあがった与信のうち資産計上はわずか2%で、ほぼ全てが債権譲渡や証券化によりオフバラ化。審査能力に劣る中小の金融機関がリスクの担い手であることが当局の懸念です。
IPO2日前のジャック・マー呼び出し翌日、突如残高の30%以上のオンバラ義務化案が公表され、その翌日アントはIPOを中止。今週水曜には、若年層向けの与信枠縮小に至っています。
冒頭の一文は英語版の元記事から。ジャック・マーはIPO中止後公の場に姿を見せておらず、2本柱のマイクロ融資事業、ホァベイ(花唄)とチェベイ(借唄)は免許を取り上げられるのではないかとしています。
新規制への対応には資本増強が必要で、アントへの公的資金注入と一部事業の国有化やオンラインとオフライン事業の分離が検討されているとのこと。
規制当局との衝突は消費者がMMF口座のように使うユエバオ(余額宝)が急成長した2014-5年にも起きたのですが、当時は当局との和解が実現、ジャック・マーの手腕に評価が高まりました。
今般のクラックダウンは金融当局を批判した10月のスピーチがきっかけとされていますが、金融システムへの潜在リスクは銀行から預金を奪ったユエバオとは比べ物にならないと思います。
融資平均額が2000元と低く延滞率も2%台ですが、残高急増中であることには注意が必要。シーズニング効果といって、残高成長が鈍化すると延滞率は急激に悪化します。
アントの目論見書もありますが、一般レベルではWSJで十分よく分かります
https://www.wsj.com/articles/jack-mas-ant-group-ramped-up-loans-exposing-achilles-heel-of-chinas-banking-system-11607250603中国の事は専門家ですらもわからない。属人的かつ決して表で説明を尽くす事が無いので分析のしようがない、それが大前提。またそれゆえ憶測や陰謀論も多い。
外形的にファクトで言えば、アリババとテンセントは誰がどうみても強烈な2社寡占で、それはこの数年で散々叩かれている米国ビッグテック5社の比ではない。周辺スタートアップ、ユニコーンもバンバン買収している。よって調査は当たり前。むしろなぜ今までやらなかったか、今年に入ってなぜ急にか、という疑問は確かにあるが、では10年以上独占的であったGoogleをなぜ今、という疑問と大して違いはない。
国家幹部の思惑など常に論じられるわけであるが、まずは上記の大前提にたって、基本的には当た前の事が進んでいる、という認識が妥当ではなかろうか。
その上で属人的にいろいろあるのは、例えばトランプだって、どの国だった大同小異でもある。
もっと言えば、スタンダードオイルもAT&TもNTTも、この手の事は常に政争の具という側面は大なり小なりあるのが中国に限らず人間の歴史。