2021/1/7

【門川市長】観光客殺到。京都が取り組んだ「3つの混雑対策」

NewsPicks 記者
観光業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済的なショックを最も受けた業界の一つだ。
様々なエリアから集まった人たちが、観光スポットに足を運んだり、食べ歩きをしたり、土産物を触って吟味したり──。そんなことは容易にできなくなってしまった。
政府は業界の苦境を救うため、昨年7月に「GoToキャンペーン」を開始したが、感染者数の増加から、12月28日に一転、停止の方針を打ち出すなど、混乱は続いている。さらには、2度目の緊急事態宣言の発令で、さらに厳しい局面を迎えている。
日本全体として観光業を基幹産業にすべく、近年では特にインバウンド客の来訪を推進してきた矢先の出来事。観光業界はどうやって、ビジネスを再構築していけばいいのだろうか。
そこでヒントとなるのが「オーバーツーリズム」対策だ。
実はコロナ以前には、増えすぎた観光客がもたらす「オーバーツーリズム」の弊害が問題視されていた。この課題を解決するための施策は、コロナ以後の「3密回避」の施策に通じる部分がある。
そこで、世界に先んじてオーバーツーリズムの問題に取り組み、「京都モデル」として世界から注目される手法を作り上げた、京都市の門川大作市長に話を聞いた。
3つのポイント
①観光地の密は一部の地域、分散化策では成功例が出てきている
②観光客にマナーを浸透させる取り組みを開始
③文化と地域コミュニティを観光が支えるサイクルを目指す
門川大作(かどかわ・だいさく)京都市長/1950年生まれ、京都市出身。74年立命館大学第2法学部卒業。2001年京都市教育長。08年に市長に初当選し、現在4期目。(写真:時事)

国内宿泊客の重要性を再認識

──京都市観光協会によると、コロナウイルスの流行後、京都へのインバウンド観光客は「ほぼゼロ」になりました。京都観光の現状についてお聞かせください。
おかげさまでこの20年間で、京都への観光客は4割増えました。消費額も6年間で7000億円から1兆2500億円になりました。
観光客が京都市で消費する年間消費額は、京都市民全員の年間消費額の55%に相当するんです。それが、直接・間接的に市内の15万人の雇用に結びつくほど、経済に大きな恩恵をもたらしています。
コロナ後は(インバウンド観光客が)ほぼゼロになりました。