近畿日本ツーリスト、経営危機自己資本比率1%台、債務超過寸前、社員3割削減
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旅行業全体厳しいが、特に在庫を抱えることの厳しさが近ツリはある。在庫を抱えると、売れないとキャッシュアウトだけになる。
近ツリ(KNT-CT)と在庫抱えないHISの四半期ごと粗利率の推移は下記のようになる。なお、HISは1月末なので、下記の期間はKNT-CT基準で、HISはそこに1か月追加した四半期。数値の順番はKNT-CT→HIS。4-6月期が一番顕著で、足元は粗利率が回復しているが、売上は前年から9割弱減少なので、在庫はOKでも販管費を全くカバーできておらず-90億円ほどの営業損失(営業利益率では-70%超…)。
2019/07-09 18.3%、17.2%
2019/10-12 16.7%、18.0%
2020/01-03 15.4%、14.4%
2020/04-06 -42.2%、12.0%
2019/07-09 24.3%、21.5%
https://newspicks.com/news/5457065近鉄グループHDがKNT-CTを救済しても、経営を劇的に改善できるわけではありません。
来年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されたとしてもその恩恵は一時のものであり、その後は人口減少、高齢化・少子化による市場変化(多様な個人客の増加、高齢者が中心の団体旅行、修学旅行の減少)にこれまでも対応しきれなかった大手旅行会社の将来性はとても明るいとは言えない状況です。
COVID-19感染症が収束し、海外旅行や訪日外国人旅行者の市場が復活する日は必ずやって来るのですが、近鉄グループHD自体も経営が苦しい中でKNT-CTがどこまで堪え切れるでしょうか。
欧州最古参で最大手であったトーマスクック社ですら倒産しています。日本の大手旅行会社にとっては生き残りをかけた壮絶な戦いがしばらく続きそうです。近畿日本ツーリストは、もともと経営状態が長らく芳しくなく、クラブツーリズムとのホールディング化を通じて決算情報を見えなくするほどの状態でした。
今に始まったことではなく、今まで守られていたものが支えられなくなった構図です。
旅行業界は旅行業法が長らく抜本的な改正を先送りしていたような保守的な業界で、今回、襟を正す意味ではよいタイミングかもしれません。
従業員の方々には同情しないでもないですが、大企業にいれば安心という時代ではないことを今一度認識する時期にきているかと思います。
一人ひとりが自分で自分の人生を考え、誰も助けてはくれないことを認識したうえで、その前提のもとに政府のセーフティーネットをきちんと整備していくことになるのだと思っています。