2020/12/19

【読書】居心地のいい組織は「ヌルい」だけではないか?

NewsPicks編集部
NewsPicks編集部が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、話題の書籍の要約をお届けする連載「10分読書」。
今回は『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)だ。
ぜひ、週末のひとときで新たな知識を手に入れてほしい。(4572文字)

組織における「心理的安全」とは

 「チームの心理的安全性」という概念を提唱したのは、ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授だ。
教授は論文の中で「チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと」だと定義した。
より現場に即した言い方をすれば、「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム・職場」が心理的に安全なチームである。
そもそも「チーム」とはなにか。実は職場でチームという考えが導入されたのは、比較的最近のことだ。
マサチューセッツ工科大学のオスターマン教授は、「職場における、チームという概念それ自体が、1980年代以降、最も広まったイノベーションのひとつだ」と評している。
単なる人の集団、すなわちグループは、共通の目標に向かって互いにアイデアを生み出し、ともに問題に取り組むという活動や相互作用によってチームへと変わっていく。
(Deagreez/istock)
「心理的安全性」の誤解の最たるものが「ヌルい職場」という認識だろう。
この誤解を解き、心理的安全性を正しく機能させるためには、「仕事の基準」(スタンダード)という考え方を理解する必要がある。