EU、グーグルのフィットビット買収承認 データ管理制限で合意
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一部誤解がありそうなのでコメントすると、今回の件はコミットメントが複数約束されているので、コミットメントを達成するかどうかをみたいのが欧州委員会の意図ですね。
責任を守れば、データ制限に関して緩和していく可能性もあるという事なので、利用者の利便性が上がるかどうかも約束を守れるのかGoogle次第という事です。
Europe clears Google-Fitbit with a ten-year ban on using health data for ads
https://techcrunch.com/2020/12/17/europe-clears-google-fitbit-with-a-ten-year-ban-on-using-health-data-for-ads/
Vestager signalled the inexorable looming clearance of Gitbit — saying the US and Europe have a different approach to dealing with market-dominating tech giants. “In Europe we do not have a ban of monopolies,” she told MEPs. “They have a different legal basis in the U.S. We would say you’re more than welcome to be successful but with success comes responsibility — which is why we have article 102 [against abusing a dominant position].”
注目のコメント
乱暴に言ってEUはデータ政策において「人々が少々不便になろうが個人データと富の一方的搾取を認めない」というのが基本感。この点からまずはよくよく議論して進めないと日本で上面だけ真似ては危険。
本件はその良い例で
ーーフィットビットの利用者データを他のデータとは別に保存し、フィットビットなどウエアラブル端末のデータをグーグルの広告に使用しない。また利用者は、自分の健康データをグーグルアカウントに保存するか、フィットビットアカウントに保存するかを選べるーー
要するにこれをすると顧客に直接間接にコストとして負担のしわ寄せがくるし、他のデバイスで管理する健康状態その他の情報連携がしたくても出来ないなど不利益を被る。今後の大手企業によるるMAは買収承認に向けた戦略立案が肝になってきます。事前に把握しておかないとシナジーが絵に描いた餅になってしまうと、買収価格の妥当性が損なわれますのでかなり重要になります。また、売り手からしても、オークションして承認リスクをどう買い手ごとに評価するか、そもそも期待される価格で売却可能かなど、これまでの規制関連承認もかなり大変でしたが、より難しいハンドリングが求められます。
本件については、Googleは脱広告が必須ですから、この手の買収は続くでしょう。今後わかりやすい広告シナジー狙いではなくなると、どんどんGAFAM間の棲み分けを浸食し競争が激しくなる方向に進むと思います。それこそが当局の狙いかもしれませんが、果たしてそれをもってしてもGAFAMの強みが損なわれるかというと疑問です。このところ、GAFAに対して全面戦争を仕掛けたように見えていたEUだが、この買収を承認したというのは興味深い。GoogleがEUの求めに応じて対策を受け入れたのがポイントだが、これぞまさにEUのエコノミック・ステイトクラフトが成功した結果と言えるだろう。