EU首脳会議、2.2兆ドル規模の中期予算・復興基金を承認
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2021年以降の中期予算に組み込まれたコロナ復興基金が、予定通り年始から執行できるかどうかの瀬戸際でした。予算配分と「法の支配」の順守をひも付けることに強く反対していたポーランドとハンガリーが振り上げた拳を降ろした形。これにより、今回の首脳会議で別の重要議題である温室効果ガス削減に向けた2030年の新目標の合意に向けても前進した形です。
ハンガリーとポーランドは、法治国家の原則(政治腐敗や司法独立など)に違反した際はEUからの資金付与が受けられない可能性が出るという取り決めに反対していた。しかし、今回、その発動に際して欧州司法裁判所の判断を仰ぐ機会が提案された。そうすると、提訴から判断が出るまで18〜19ヶ月かかるので、たとえ今からどうなってもハンガリーやポーランド次の総選挙(や大統領選挙)の前に判決が出ることはないだろうということになったわけである。
仏作って魂入れずと申しましょうか、枠組は作るが運用で揉めるのがEUの悪癖です。コロナショックという未曾有の危機でも「法の支配」を持ち出す必要があったのか、と根本的な疑問があるわけですが、それもまたEUらしいというか、不変だなと感じるわけです。
あとは復興基金という特定の政治色が強いスキームが、景気の回復を促す上でどれくらいの効果を持つかというところです。用途がタイド過ぎる印象が私には否めません。