【実話】天才児と母がたどった「父」探し、13年の全記録
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ウェンディとライアンの「父親」探しの旅は映画を超えるようなドラマで溢れていました。あまりの突飛なストーリーに、何度もウェンディさんの答えを確認してしまったほどです。
そもそも精子バンクから全く知らない人の精子を買うとはどういうことなのか。提供精子から生まれた子供が、育ての父親とどう親子関係を築くのか。生物学上の父親を知りたいとなった時にどういうことが今の技術で可能なのか。多くの問いを二人の記録は教えてくれています。
取材をする中で、一番大きな問題だと思ったのは生まれた子供が「出自を知る」という権利です。遺伝上のルーツ、「父親」のことを一定の年齢がきたら(18歳が多い)知れるようにしようというものです。これが大きな問題として議論されるようになったのは、精子バンクの歴史の中でも最近のこと。ライアンが幼かった頃は「出自を知る権利」などは議論されていませんでした。
提供精子で生まれた子がその事実を後に知り、ひどく傷ついた人生を送ってしまうこともあります。それまでは子どもが欲しい親の望みを叶えるための手段として利用されて来ましたが、生まれて来る子どもの権利ももちろん必要です。
皆が幸せになるためには、どういった選択肢があるのか。どう問題をクリアしていくのか。これは当事者だけでなく、精子提供で生まれた子供や家族を抱える社会の問題でもあります。自分に関係ないということでは決してなく、私たち一人がそういった形の家族を社会でどう受け入れて行くのか、そのための初めのガイドのような特集にできたらと思っています。
さまざまな視点でこの課題について伝えて行きます。一緒に考え、議論ができたらと思います、よろしくお願いいたします。今日から6日間、「精子バンク」について連載します。
初回の今日は、米国で精子バンクを使った利用して出産した女性と息子の物語。DNA解析が一般化した米国では、精子の提供者本人がDNA解析をしていなくても、その血縁者の誰かが解析をしていさえすれば、提供者にたどりつくことができるという現実が到来しています。同じ提供者の精子からうまれた「生物学的なきょうだい」探しも活発になっています。
「生物学的な息子」からの予期せぬコンタクトに、提供者の方がどう応じたのか。そこで生まれたドラマはまさに「事実は小説より奇なり」で圧倒されます。
精子バンクは、健康な提供者からあらかじめ精子を集め、凍結保存して、男性が無精子症のカップルや、独身女性、レズビアンカップルらに提供するもので、海外では営利目的の精子バンクが多数できています。背景やさまざまな課題については、明日以降の記事で紹介していきますので、ぜひご注目ください。記事にも出てくる様に精子提供で産まれてきたということを知りたい人ばかりではないでしょう。また、ドナーも探して欲しくないという意思がある場合もあります。この件はハッピーエンドですが、プライバシーの権利、子供の知る権利(ドナーの知られない権利)の観点からも法律上の手当が必要ですね。
突然ドナーである既婚者の自分の前に何十人も自分の生物学上の子供が現れて、しかも全員ハッピーな状況でなかったり犯罪者だったりしたらどう思いますかね?