2020/11/22

【磯田道史】歴史を変えた偉人の「読み方」に学ぶ

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読書の目的として「先人の経験や過去の出来事から学びを得る」ことを挙げる人は多いだろう。
しかし、「歴史に学ぶ」のは、なかなか難しいものだ。
例えばこの春、新型コロナウイルスの感染が広がっていく中で、パンデミックを題材にした過去の映画や小説がさかんに引き合いに出され、その内容がいかに「予言的」であったかが話題になったのは記憶に新しい。
しかし、なんのことはない。感染症に際して、人はいつの時代も同じような「右往左往」を繰り返してきた。江戸時代に疫病が流行したときにも、パフォーマンスで無駄な物資を配ったリーダーはいたし、100年前にスペインインフルエンザ(スペイン風邪)が流行したときも、日本人は「有名人(劇作家の島村抱月)」の死をきっかけに、病への恐怖を実感したのである。
そんな、パンデミック下での人間行動を活写するのが、歴史学者・磯田道史氏の近刊『感染症の日本史』(文春新書)だ。
われわれは、なぜ歴史を忘却してしまうのか。どうすれば過去の出来事から学びを得られるのか。博学の徒として知られる磯田氏に、歴史を血肉に変える方法を縦横無尽に語ってもらった。

歴史が教えてくれないこと

――『感染症の日本史』を読んで感じました。なぜ、われわれは感染症に直面すると、毎度同じような右往左往を繰り返してしまうのか。どうして歴史から学ぶことは難しいのでしょうか?