2020/11/21

【読書】アメリカを分断する「二重経済」を学ぶ

NewsPicks編集部
NewsPicks編集部が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、話題の書籍の要約をお届けする連載「10分読書」。
今回は『なぜ中間層は没落したのか アメリカ二重経済のジレンマ』(慶應義塾大学出版会)だ。
ぜひ、週末のひとときで新たな知識を手に入れてほしい。(4591文字)

アメリカで「中間層」が消えつつある

アメリカの中間層が消えつつある。アメリカの総所得に占める中間層のシェアは、1970年から2014年の44年間で30%減少した。何が起きているのか。
1970年に起きたのが、実質賃金の上昇の停止だ。第2次世界大戦の終結以来、賃金は経済とともに上昇していた。しかし国民総生産は1970年以降も増加し続けたが、賃金はそうではなかった。
経済成長から、賃金が乖離(かいり)していったのである。では国民経済の差額の部分はどこへ行ったのかというと、それは上層集団に向かったのである。
所得分布で上層にいくほど、ここ数十年の所得の増加は急激だ。このことを踏まえると、「アメリカには二重経済が存在する」と考えるべきである。上層部門を形成する上位20%と、残りの80%が該当する中間層および下層部門である。