[東京 16日 ロイター] - 日銀の政井貴子審議委員は16日、北海道・道東地域の金融経済懇談会後の記者会見で、低金利環境の長期化で「政策金利を用いた伝統的な金融政策の波及経路を通じた緩和効果が弱まっている」と指摘。自然利子率の低下で名目金利が「実効下限制約」にかなり近づいている現実を踏まえると、上場株式投信(ETF)の買い入れは「フォワードガイダンス(FG)とともに緩和効果を高めるツールであり続ける」と語った。

その上でETFの買い入れについて、金融緩和の長期化を見据え、「今後もさらなる柔軟性向上や市場の育成といった観点を含めて、前広に議論を重ねる必要がある」と述べた。

地域金融機関の経営効率化を促すために導入を決めた特別当座預金制度については、金融システムの安定のためのプルーデンス政策として導入したものであり、「(マイナス金利政策による)副作用に配慮したわけではない」と述べた。

同日発表された7―9月期の実質国内総生産(季節調整値)は前期比年率21.4%増。比較可能な1980年以降で最大の伸び率となった。政井委員は「確かに戻ってきているが、2019年のレベルに名目の水準でも戻ってきていない。まだまだ回復の過程だ」と指摘。「金融政策について予断を許す状況ではない」と語った。

*内容と見出しを更新しました。

(木原麗花、和田崇彦) 編集:青山敦子)