【ディープ解説】気候変動の「投資ブーム2.0」がやってきた
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10年前のクリーンテックとそれを取り巻く投資環境については、こちらのレポートに詳しくまとめられています。
https://energy.mit.edu/wp-content/uploads/2016/07/MITEI-WP-2016-06.pdf
気候変動や石油価格上昇を背景に多くの人が必要と信じたクリーンテックは、00年代後半にかけてプチバブルを形成後、GFCで資源価格が急落しブームを終えています。ここには書いてないが今回の米大統領選と非常に符合したことが20年前におきた。00年アルゴアVSブッシュ。共通点は前者が民主党で、副大統領経験者で、プロ環境政治家という事。違いは逆に負けた事で、むしろトランプのように法廷闘争まで行った。
ゴアは敗戦後06年にドキュメンタリー映画、不都合な真実に主演しアカデミー賞、ノーベル平和賞まで取っている。
翌07年、本稿にも登場するジョンドーア率いるVC、クライナーパーキンスに環境担当パートナーとしてジョインした。このジョンドーアの涙のスピーチはその年。
そのあたりが前回のシリコンバレーの環境ブームのピーク。その後はこちらに書いてある通り数年かけて坂を転げ落ちて終わった。
当時と今とで決定的に違いは何か
第一に、5大ビッグテックの存在
第二に、SDGs/ESGブームの存在
第三に、過剰流動性
この3つだろう。第一は、今環境対策のトップランナーはGAFAである。気の遠くなるような世界一番の金持ちが、いま世界で一番環境に金を使っている。ディープポケットな彼らが頑張っているから今の環境ブームが成り立っている、と言っても大げさではない。
第二は、そんな彼らやテスラに投資していればプロ環境だ、ESGファンドだと言っていられるゆえ、天下のブラックロック以下メガファンドの経済合理性とフィットしている事。これも前回は無かった。
第三は、文字通り異次元。当時と今とでアメリカで流通しているマネー量はリーマンショックとコロナショックを経て10倍以上違う。その他世界も大同小異。行き場のない金はあらゆるフロンティアを食い尽くし、真っ赤っかのIPO銘柄に兆円単位のデビュー価格が付く。
今回ももちろんアップダウンはあるだろうが、ともかくも、何事も歴史はらせん状に発展する。記事にも触れられている通り、クリーンテックの流れを受け、名門クライナー・パーキンスも数百億円の大型ファンドを組成しましたが、このファンドは失敗に終わりました。様々な議論がありますが、この失敗が名門ファンドの凋落に拍車をかけたとも言われています。(その後Social Capitalのエースであったマムーン・ハミッドをスカウトしたり、KPCBからKleiner Perkinsへロゴ含めリブランディングするなど、立て直しを進めています)
尚、領域特化ファンドとして、クライナー・パーキンスは「パンデミック・ファンド」を2006年に立ち上げましたがこちらも一度限りで終わっています。
一般論ではありますが、領域特化ファンドはジェネラルファンドに比べて苦戦を強いられる傾向にあります。鶏と卵ではありますが、気候変動に関するマーケット自体が大きくなることがVCの資金を継続して巻き込むことに繋がります。SDGsの高まりなど踏まえ、Fintech、Digital Healthのように業界規模がかなり大きくなっていくか注視していきたいです。