2020/11/3

【米大統領選】「デマ情報の洪水」で選挙事務所がパンク寸前

The New York Times

朝から鳴りやまぬ電話

先月の大統領討論会の翌日、アル・シュミットが監督するフィラデルフィアの選挙事務所では、朝から電話が鳴り響いた。
ある人は、フィラデルフィアで選挙の不正が横行しているというトランプ大統領の発言は事実なのかと尋ねてきた。別の人は、選挙監視員が投票所から締め出されているという事実無根の噂に対してクレームを入れてきた。さらに別の人は、フィラデルフィア市が有権者から何を隠そうとしているのか教えろと要求した。
これは、フィラデルフィア市の3人のコミッショナーの1人であるシュミットにとって、ありふれた毎日の風景だ。職務の一環として、シュミットは有権者登録と投票の事務作業を監督している。
この数カ月間、何百人もの有権者が毎日のように電話をかけてきた。多くの人々は選挙にまつわる陰謀論や、メガドナー(大口献金者)が自動投票機を操作しているといった嘘の情報を口々に繰り返していた。スタッフは何時間もかけてその噂を打ち消しているとシュミットは言う。
「津波のように押し寄せるデマ情報を撃退するために、何千万ドルもの予算をかけてスタッフを雇うわけにもいきません」とシュミットは言う。「自分たちでなんとかするしかないのです」シュミットのチームは、11月3日の選挙当日に先立つ日々を、一日17時間体制で働いてきた。
全国各地の選挙管理人は、いまやパンク寸前だ。彼らは記録的な数の郵便投票を扱いながら、パンデミックの様々な影響とも闘っている。そこに追い討ちをかけるもう一つの災いが「デマ情報」なのだ。
フィラデルフィアの選挙事務所で監督を務めるアル・シュミット(Michelle Gustafson for The New York Times)