[東京 29日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>が29日発表した2020年9月の世界販売(トヨタ車とレクサス車)は、前年同月比で約2%増、世界生産が同約12%増となり、いずれも9月として過去最高だったと発表した。世界販売は主に中国や米国、世界生産は中国と日本などがけん引した。

4─9月累計での世界販売は前年同期比で約19%減となり、新型コロナウイルスの影響からの回復ペースは想定以上となっている。

<世界販売の回復ペースは想定以上>

9月の世界販売は83万7049台となり、9月として前年2019年の過去最高を更新した。

中国販売は約25%増と6カ月連続で前年を上回った。地方モーターショーなどによる来店誘致や受注活動強化が寄与したほか、主力セダンの「カローラ」や「レビン」などが好調だった。

米国販売は約16%増と7カ月ぶりにプラスに転じた。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ需要が回復。高級車ブランドのレクサス車のほか、セダンの「カムリ」やスポーツ多目的車(SUV)の「RAV4」などが堅調だった。

トヨタは5月の決算発表時に世界販売の回復ペースについて、4─6月に前年同期比で約40%減、7─9月に約15%減、10―12月に約5%減、来年1―3月に約5%増との想定を描いていた。4─9月累計の世界販売は約19%減の401万1479台で、想定を上回る結果となったが、トヨタの広報担当者は、先行きはまだ見通せない状況で、回復ペースの想定に「変更はない」という。

フランスが12月1日までの約1カ月、全土で再び都市封鎖(ロックダウン)を実施すると発表するなど、欧州市場の一部では再びコロナの感染拡大が深刻化している。トヨタは「足元で影響は出ていないが、状況を注視したい」としている。

<世界生産は中国・日本が寄与>

9月の世界生産は84万1915台で、9月として15年以来の過去最高となった。中国での生産は前年同月比で約49%増だった。主力セダンの「レビン」や「カローラ」の販売拡大が寄与した。

日本での生産は約4%増だった。世界市場の回復により輸出が前年同月並みに戻ったほか、日本でSUV「ハリアー」や小型車「ヤリス」などの新型車販売が好調だった。今後も生産拡大が見込まれており、一部の工場では休日出勤も実施する予定という。

4─9月累計での世界生産は前年同月比23.1%減の350万1041台だった。

(白木真紀)