2020/10/12

【真相】不動産大手が明かす「日本のオフィス」のリアル

NewsPicks 編集部 記者・編集者
今、「オフィス不要論」を肌で感じている企業の一つが、不動産仲介会社だ。
オフィスの拡張移転などの際に、不動産を紹介して手数料を得る仲介会社にとって、リモートワークが普及してオフィスに人が出社しなくなり、企業がオフィスの縮小・移転を検討し始めることは、大きな痛手になる。
コロナは不動産取引にどのような影響をもたらしているのか。不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE)の坂口英治社長に聞いた。

拡張移転の案件は白紙

──オフィス仲介の市場は今、どうなっていますか。
坂口 コロナ前に積み上がっていた案件は、ほぼ全部いったんなくなりました。
コロナ前は、人材獲得競争の中で優秀な人材をとるために、人気の地域に、レイアウトのかっこいいオフィスを出したいという声が多数ありました。こういった話がコロナで完全に消えたということです。
──オフィスに入居する企業からはどんな要望が寄せられていますか。
企業の総務部は、コロナで売り上げが急激に減少する中、どのようなコスト削減のオプションがあるのかを知りたがっています。
賃料の減額や支払猶予を駄目もとでオーナーに掛け合っている企業をいくつも確認しています。減床(げんしょう、オフィスの床面積を減らすこと)や、空いたスペースを第三者に転貸して賃料負担を減らせないかという相談もあります。
また、しばらくの間、社員に在宅勤務をしてもらって、どうしても会社のスペースが必要な人にはコワーキングスペースを用意するという企業もあります。
ただ、そういった相談事を具体的に実行に移すのは、規模が大きければ大きいほど、労務政策や組合との折り合いをどうするのか、どの職種を在宅勤務の対象にするのかなど、決めなければいけないことがたくさんあり、時間がかかります。
大規模移転の話が出てくるのは年明け以降になると思います。

オフィス賃料は8年ぶりに下落

──今後、オフィスの需要は減りますか。