入試で差別とエール大を提訴 米政府「白人やアジア系」
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これはAffirmative actionについて昔から繰り返されてきた議論です。特定のunderrepresented groupsの入学基準を緩和する措置のことです。
Underrepresented groupsとは、母集団人口と比べてその学校・職場などでの人数が少ない集団。
例えば女性。人口の5割います。でも東大は明らかに女性が少ない。明らかなUnderrepresented groupです。
アメリカの黒人やヒスパニックもそうです。
アメリカでは一般的に黒人女性がもっとも名門大学に入りやすくなります。
さて、これが正しいのかどうか。
たしかにこれは「逆差別」であるという主張ももっともです。
しかし、過去に女性や黒人が受けてきた差別の矯正措置でもあります。
例えば、東大の男女比の明瞭な差は、純粋に男女間の能力の差によるものでしょうか?違うでしょう。根強く残る「女性はかくあるべきだ」という社会的ノルム が女性を阻んでいる面もあるでしょう。
人種間の差についていえば、貧しい家庭に生まれた子は能力があっても大学に行かせてもらうお金がなく、良い職につけずに、貧乏が遺伝していきます。黒人は無一文で奴隷から解放されました。それが現代まで引き継がれています。その「矯正」が必要なんだ、という考えです。
さて、ここからはアメリカで子育てをする子煩悩なアジア人の私見です。
東アジア人はoverrepresented groupです。つまりアメリカにおいて人口の数パーセントしかいないのに、名門大学には非常に多くの東アジア系の学生がいます。
そのためアジア人に対する入学基準が白人よりも厳しくされているケースがあります。例えばハーバードでそういう論争がありました。
これはどうかと僕は思うのです。山崎豊子さんの『二つの祖国』やJulie Otsukaさんの"Buddha in the Attick"などに描かれていますが、戦前、日本人は無一文でアメリカに移民し、戦中は収容所にぶち込まれ、大変な苦労をしました。アジア人がアカデミアにおいて成功しているのは、人種的に優遇されてきたからではなく、先人たちが身銭を切ってまで子供の教育に投資してきた苦労の結果です。それを「罰する」ような措置は、どうしても納得が行かないと、アメリカで子育てをする日本人親としては思うのです。司法省が訴状を公表していますが、2段階ある選考の第一段階で、黒人、ネイティブアメリカン、太平洋諸島出身者、またアジア系の中でラオス、カンボジア、ベトナムなど特定の国の出身者を優遇していた、との主張。
トランプ政権が少数派の優遇には批判的で、過去半世紀にわたって続いてきた少数派優遇措置であるアファーマティブ・アクションの存続が俎上に上がっています。今回の訴訟がいずれ連邦最高裁に持ち込まれ、保守派多数になる(可能性が高い)最高裁でアファーマティブ・アクションを違憲ないし違法とする判決につながる可能性も感じさせます。