米国人ら3人にノーベル賞 C型肝炎ウイルスを発見
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別記事でも書きましたら改めて。
今年の受賞テーマは「C型肝炎ウイルスの発見」です。日本だとミドリ十字社の薬害肝炎あたりが有名でしょうか。肝炎や肝硬変というとお酒の飲み過ぎのイメージがありますが、実際にはウイルス感染がとても多いです。
ざっとまとめると、
ハーベイ・オルター氏:輸血によって感染するB型肝炎以外にも肝炎を引き起こすウイルスがいることをチンパンジーの感染実験によって証明した
マイケル・ホートン氏:B型肝炎ではない肝炎患者の血液にある抗体を使い、肝炎に感染したチンパンジーの中に未知のウイルスがいることを見つけた(ここで初めてC型肝炎ウイルスを命名)
チャールズ・ライス氏:ウイルスが体内で増える仕組みを解明し、このウイルスが肝炎を引き起こす決定的な証拠となった
1970〜90年代にかけての研究で、特に抗体探しは地道な作業です。今はゲノム解析でスピードアップし、新型コロナウイルスは2か月くらいでゲノム解読や感染方法の特定、薬の候補探しが進んでいますが、手順としては当時とそこまで変わらないです。
こうした医学研究の成果は、突然のブレークスルーで生まれるとは限らず、ここに名の上がらなかった多くの方々の努力も含めて、地道に達成されるものがほとんどです。このC型肝炎ウイルスが発見されるまでは、non A non BすなわちAでもBでもない、特定できない肝炎ウイルスと分類されていました。
しかし、C型肝炎ウイルスの同定により、AでもBでもない肝炎ウイルスの過半数がこれにあたることが判明しました。また、ウイルスが同定されたことで治療薬の開発につながり、今や治癒を目指せる感染症になりました。
慢性C型肝炎は、無治療では肝硬変や肝細胞癌、ひいては死亡にもつながりうる重大な病気です。C型肝炎ウイルスの同定は、そのような重大な病気の根治にまでつながる発見でした。