(ブルームバーグ): トランプ米大統領は新型コロナウイルス感染症(COVID19)の症状の回復が続いており、早ければ5日に退院する可能性があると、担当医師の1人が4日に述べた。ただ、治療に関する新たな情報は実際の病状がより深刻なのではないかとの懸念も引き起こしている。

医療チームの1人でジョンズ・ホプキンス大学の肺疾患専門家、ブライアン・ガリバルディ氏は「早ければ明日にも退院しホワイトハウスに戻る方向で調整できることを、われわれとしては希望している」と述べた。トランプ氏は入院先のウォルター・リード米軍医療センターで治療を受けている。

トランプ大統領「間もなく戻れると思う」-病院から動画ツイート (1)

また、主治医のショーン・コンリー氏は記者団に対し「大統領は改善が続いている」とし、 「他の病気と同じく、病状の起伏はよくあることだ」と語った。

コンリー氏は、トランプ氏が抗炎症薬を投与されていることを明らかにし、2日にホワイトハウスで酸素補給を受けていたことも初めて認めた。

トランプ氏の側近らは早期の選挙戦復帰に向けて前向きな見方を示しているが、一部患者で容体の急激な悪化もみられる段階に進む中、同氏の実際の病状については疑問も根強く残る。

タフツ医療センターで地理医学と感染症の部門責任者を務めるヘレン・バウチャー氏は「多くの患者が重症化するのは、8日目から10日目ごろであることが分かっている」と述べた。

コンリー氏によると、トランプ氏の血中酸素飽和度はCOVID19診断後に2回低下。また医療チームはCOVID19治療で抗炎症薬として使用されるステロイド薬「デキサメタゾン」の投与を決めたという。肺のX線およびCTスキャンの結果を問われると、コンリー氏は「予想されていた結果」が示されたが、「臨床治療上の大きな懸念事項」は何もなかったと話した。

この日のコンリー氏の記者会見はわずか10分程度で終了。肺炎の兆候があるかどうかについての繰り返しの質問に答えることはなかった。

民主党のペロシ下院議長はCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」で、「われわれは大統領の病状で真実が語られていると信頼する必要がある」とコメント。医療チームの公式見解がトランプ氏の承認を受けていると示唆した上で、「それはあまり科学的とは言えない」と述べた。

トランプ氏は4日午後にツイートし、入院先のウォルター・リード米軍医療センターの門前に集まる「全てのファンや支持者」に謝意を示した。

原題:Trump’s Doctors Stay Upbeat Even as Treatment Raises Questions(抜粋)

©2020 Bloomberg L.P.