2020/10/5

【新】1200人移住。「淡路島パソナランド計画」の全貌

NewsPicks 編集部 記者・編集者
新型コロナを機に、オフィスに大異変が起きている。
緊急事態宣言下で多くの企業が在宅勤務を実施し、自宅での勤務を多くの人が経験した。
リモートワークを前提にした働き方は、コロナが収束した後も続くとする見方が多い。「働き方改革」の流れの中で、時間と場所を柔軟に選べる働き方を企業は無視できなくなっているからだ。
出社する社員が減ることを見越して、オフィスを縮小する動きも始まっている。富士通はオフィスを3割削減する計画を発表。ぐるなびもオフィス面積の4割縮小に動く。もはやオフィスは必要ないという「オフィス不要論」まで飛び出した。
一方で、在宅勤務の長期化に伴い、リモートワークの問題点もここに出て浮き彫りになってきた。社員間のコミュニケーションの不足や、「自宅では集中できない」など住まいとオフィスを併用する難しさを感じる人も多い。
オフィスと自宅、そしてシェアオフィスなども活用しながら、「働く場所」をどう再構築していくか。これが今、世界中の企業が直面している課題だ。
そうした中で、淡路島へ本社機能を移転する計画を発表したのが、人材派遣大手のパソナグループだ。都心部から遠く離れた場所に、1200人もの社員を移住させる計画が注目を集めている。
なぜ、淡路島なのか。そして1200人の社員が本当に東京から移住するのか。
NewsPicks編集部は淡路島に乗り込み、取材を敢行。パソナグループの南部靖之代表に真意をたずねた。

淡路島に9施設を展開

人口13.5万人、瀬戸内海の東端にある淡路島は、島の北側にある兵庫県側、東側の徳島県側からそれぞれ橋を使ってアクセスできる。
神戸・三宮から車で約30分。明石海峡大橋を渡って島に入ると、すぐそばに兵庫県立淡路島公園がある。
134.8ヘクタールの緑豊かな公園内を歩いていくと、巨大なゴジラが口を開けていた。パソナが新しく手掛けるレジャー施設だ。全長約120メートルの実物大ゴジラのアトラクションで、10月10日のオープンに向けて工事が進む。
県立淡路島公園から明石市や神戸市を臨む(撮影:花谷美枝)
パソナは人材派遣やBPOの受託で売上高の8割を稼ぐ。だが実は、グループ会社が78社のグループ会社を持ち、福利厚生や子育て支援、はては農業まで手掛ける超多角化経営を地でいく企業でもある。
ここ淡路島では、観光業を主軸にした地方創生事業に取り組む。2008年に淡路に進出し、現在は島北部を中心に9カ所の施設を運営している。
ゴジラがある淡路島公園アニメパーク・ニジゲンノモリもその1つ。クレヨンしんちゃんやNARUTO、火の鳥など、海外でも人気の高いアニメ・漫画をモチーフにしたアトラクションで国内外から観光客を誘致している。
ニジゲンノモリにある「クレヨンしんちゃんアドベンチャーパーク」(撮影:花谷美枝)
海沿いでは複数の飲食店を経営する。高さ11メートルの巨大なキティちゃんが目を引くレストラン、ハローキティスマイルは、コロナ前には1日2000人が来場していた人気店だ。アジア圏からの観光客が多く、10万円を超えるキティちゃんグッズが売れていくという。
パソナが淡路島に進出したのは2008年。独立就農を支援するチャレンジファームを立ち上げたのがはじまりだ。