HPVワクチンは、前がん病変だけでなく子宮頸がんを予防し、17歳未満の接種で有効性が高まる
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HPVワクチン(以前は子宮頸がんワクチンと呼ばれていました)は、子宮頸がんの発症予防に働きます。
ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がんは、発症に至るまでに10~20年が必要です。
ですので、これまでの研究結果は、『前がん病変(がんに至る前の変化)』までのデータでした。
しかし、HPVワクチンが使用されるようになって10年以上が経過し、とうとう『子宮頸がんそのもの』を予防するという大規模試験が報告されました。
2006年から2017年までのスウェーデンの10~30歳の男女1,672,983人を追跡調査し、4価HPVワクチン接種とその後の子宮頸がんの発症リスクを評価したところ、
子宮頸がんの発症リスクを、17歳以前にワクチンを接種した女性では、88%、17~30歳でワクチンを接種した女性は53%少なくするという結果でした。HPVアクチンによる子宮頸がんの発症予防を示す大規模な研究結果です。
本邦での接種率向上の助けになりますね。
スウェーデンなどの北欧の国々は国民の健康データをデータベースに登録しており、このような大規模な研究結果がスムーズに報告されます。今回10~30歳の男女160万人程度(人口1000万弱)で人口の15%以上のデータが利用されていることになります。
同規模の研究は日本から報告されることはありません。国民すべての健康情報を網羅するデータベースは日本にはないからです。我々はいつも他国のデータの参考に日本国民の治療、予防に当たっています。こういう研究を見るたびに歯がゆくなります。とうとう子宮頸がん自体の予防を示せましたか。
反ワクチンの方々がよく言う「前がん病変が減ってもがん自体を予防していることは示せていない」にも対応できますね。子宮頸がんの発生機序からすればかなり屁理屈に感じたし、がん化するまでは時間を要するので結論を先送りにしているだけと感じていたのですが、今回の結果には安心しました。
みんパピの活動の後押しにもなりそうでよかったです。