2020/9/29

【要点】NYTが独自調査。トランプの「税金対策」18の手口

The New York Times
ニューヨーク・タイムズ紙は、ドナルド・トランプ大統領とその関連企業の納税データを約20年分にわたって入手した。
かねてより納税情報の公開を拒否しているトランプは、ここ何十年間で初めて、基本的な財務情報を公の目から隠そうとした大統領になった。だからこそ、大統領の納税申告書がこれほど多くの国民の関心を集めているのである。
留意すべきは、納税申告書はトランプのビジネスの全貌を丸裸にするものではないということだ。そこに書かれている内容は、トランプ本人が国税庁(内国歳入庁=IRS)に申告したものにすぎない。それでもなお、同文書はトランプの「税金対策」について、これまでで最も鮮明な図像を提供してくれる。
以下は、タイムズ紙の調査によって判明した主な事実を、18のポイントに分けて要約したものだ。本編記事には、より詳細な情報が含まれているため、ぜひそちらもご参照いただきたい。
(Justin Metz/The New York Times)

大統領が率先して「税金逃れ」

1.トランプは過去20年間の大部分において、連邦所得税を支払っていない。
タイムズ紙が調査を行った18年間のうち11年間、トランプは連邦所得税を支払っていない。また、2017年の大統領就任以来、トランプが納めた税金の合計はわずか750ドルである。
トランプは、多くの国民が個人的な出費と見なすであろう支出を自分の会社に負担させることによって税金を回避し、“ビリオネア”のライフスタイルを謳歌している。
(Doug Mills/The New York Times)
2.トランプの納税額は、アメリカの富裕層の中でも突出して少ない。
アメリカの富裕層に課せられる税金は、過去数十年の間に急減している。富裕層の多くは、法の抜け穴を利用して法定税率よりも低い税率を適用してきた。とはいえ、大半の富裕層が、依然として高額の連邦所得税を支払っている。
国税庁によると、2017年に納税申告者の上位0.001%(アメリカの人口の10万分の1に相当する最も裕福な層)に適用された連邦所得税率は平均で24.1%だった。
過去20年間で、このグループに属する人々が支払ってきた連邦所得税の平均額より、トランプが支払った税金は約4億ドルも少ない。