富士通連合が契約獲得 英EU離脱の輸送支援策
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1国2制度というと言いすぎかも知れませんが、北アイルランドがアイルランド国と事実上共通のルールを維持するためには、大ブリテン島とは違うルールでの運営が必要となります。
そのため、同じUK(英国)国内なのに(大ブリテン島を取り囲む形で事実上税関などの意味での国境を引く形のため)北アイルランドとは「貿易」のような様相が必要になり、この手続きの簡便化のために導入される仕組みの件です。
では何故UKはUKの本来の国境である北アイルランドの南側で線を引くことが難しいのか、これはアイルランド国の成立に深く関わる「(北)アイルランド紛争」がそもそもの基となります。
UKがキリスト教の中でも(旧教系とは政治史上、違いから袂をわかった)英国国教に分類される面が強いのに対し、アイルランドは本来旧教系の色が強い地域として知られています。アイルランド国が国として独立する際の住民投票でUK側に残るとした北アイルランドの各州が現在の(UKの連合王国の一角を形成する)北アイルランドをなした訳ですが、この際の国境周辺を巡る紛争が長く続き、ようやく和平が合意した1998年には、UKもアイルランドも共にEUにいることを前提としての「税関などの物理的国境は設けない」という重要な条件が入っていました。
ちなみにそれ以降重要な役割を果たしていた(各政党の協力で成立していた)北アイルランドの自治組織は2016年のUKのEU離脱を決めた国民投票の後、2017年頃には機能不全に陥り、(民主統一党やシン・フェイン党等といった志向の異なる)各政党が独自で動く構図が残ってしまいました(政党間で合意がなされることはある)。
メイ政権時代のEUとの合意案はEU離脱の暫定の9割を構成したと言われますが、ジョンソン政権になってから変更した重要点がこの北アイルランドの取り扱いであり、メイ政権の時には北アイルランドのUK帰属を志向する民主統一党が連立の一角を構成していたため、今回のような大ブリテン島を取り囲む形での合意は取れなかった筈です。
そして、この合意が現在UK側の法律案によって危機に晒されています。
富士通もよくリスクをとったなと思います。企業連合には富士通の他にMcKinseyとインド系のHGSが参加とのこと。EU経済域とのボーダーで使われるシステムですが受注はボーダレスなのですね。
ちなみにボーダレスと言えばBrexit後の英国の栄えある「非EU」パスポートはフランスThales傘下のGemaltoが製造することが決定しています。EUを離れたつもりがそのEU側にパスポートの製造を委託する形です。
それまで製造を担っていた英国のデラルーを入札で退けてGemaltoが受注したのですが、Brexitとはいえボーダーレスの時代は引き返せないようです。