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動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を所有する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が米オラクルと米国内に新たに設ける会社は、約1年以内での新規株式公開(IPO)を検討している。事情に詳しい複数の関係者が17日に明らかにした。

ブルームバーグ・ニュースはこれより先、米財務省とバイトダンス、オラクルが16日遅くに取引条件で暫定合意に達したと報じていた。

ムニューシン米財務長官は16日遅く、修正後の条件を記した文書をバイトダンスに送付。同社とオラクルはこれを受け入れた。修正は取引を巡る国家安全保障上の懸念に対応するためだと、関係者らは匿名を条件に語った。

匿名の政権当局者の1人が17日夜に語ったところでは、トランプ大統領は取引の詳細の一部について説明を受け、ティックトックの支配権を中国が保持するのは米国ユーザーの個人情報を危険にさらすことになるとして難色を示したという。

「状況は極めて流動的」

トランプ大統領はウィスコンシン州への遊説に向かう前に記者団に対し、政権当局者が17日に関係各社と話し合いを持ったと述べたが、その詳細には言及しなかった。

トランプ氏は「われわれはきょう、ウォルマート、オラクルと話した。マイクロソフトはまだ関与しているのではないかと思う。われわれは決断を下すが、これまでに大きな変化はない」と語った。

バイトダンスは先週末、マイクロソフトによるティックトック米事業の買収提案を拒否していた。事情に詳しい関係者はこの日夜、マイクロソフトはティックトックに関する協議にもう関与していないと述べた。

メドウズ大統領首席補佐官はウィスコンシン州に向かう途中、「状況は極めて流動的だ」と説明。「現時点で大統領が検討もしくは拒否を求められている決定的な提案はない」と述べた。

メドウズ氏はこれより先、オラクルの提案ではトランプ氏の意向を十分に満たさない可能性を指摘。ティックトックが主として中国政府が運営する会社として今後も存続するのであれば、トランプ氏が当初掲げていた目標には届かないことを懸念していると述べていた。

一方、交渉が前進している兆候もある。同取引に最も強い難色を示していた1人であるポンペオ米国務長官は態度を軟化させており、16日午前にはトランプ氏にもそう伝えたという。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

バイトダンス、中国当局がTikTok取引承認すると自信-関係者

取引がどのような形になるにせよ、最終判断はトランプ氏に委ねられており、拒否する可能性もなおある。中国政府による承認も必要だが、政府当局者はティックトック米事業を巡る米国の動きを「経済的いじめ」だと非難している。

ホワイトハウス、財務省、ティックトックはいずれもコメントを差し控えた。

原題:Bytedance Plan for U.S. TikTok Company Envisions IPO in a Year(抜粋)

(第10段落に米国務長官の態度に関する情報を追加して更新します)

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