2020/9/8

【始動】観光の未来を変える「再生型トラベル」って何だ

The New York Times

今こそ「観光再生」のチャンス

過去9年間、グローバルGDPを上回るスピードで成長してきた観光業が、新型コロナウイルスのパンデミックで大打撃を受けている。
同産業が世界全体の雇用の10%を占めていたのは、もはや過去の話。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によれば、観光部門では1億2100万人分の雇用が失われる見込みで、損失額は少なくとも推計3兆4000億ドルに達するという。
だが一時停止状態のさなか、業界の一角では「ポスト・ワクチン」時代の旅行回帰を見据え、パンデミックが始まった2020年3月以前よりエコで、スマートで、混雑度の低い観光のあり方を目指す動きが起きている。
パンデミック以前の世界で、観光がもたらす社会的・環境的な“負の影響”の相殺を目指す「サステナブル・ツーリズム」が、エコツーリズムの理想の頂点に位置していたとすれば、今や新たなフロンティアは、旅先をより良い状態にして去る「再生型(リジェネラティブ)トラベル」だ。
「サステナブル・ツーリズムは、いわば低いハードルです。結局のところ、旅先をめちゃくちゃにしないというだけのことですから」。パデュー大学ホスピタリティ・観光学部准教授で、サステナブル・ツーリズムを専門とするジョナサン・デイはそう指摘する。
「次世代のために、旅先をより良い場所にしよう──それが再生型ツーリズムのメッセージです」
(martin-dm/Getty Images)

「サステナブル」の、その先へ