【岸田文雄】私は、出馬を決めた
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英国保守党の場合、党首選挙は、まず国会議員投票で、候補者を2人まで絞り込みます。決選投票は、党員全員による郵便投票で決定します。議院内閣制では、最大与党の党首はすなわち首相になる場合が多いので、党首選が実質的な首相決定選挙としての意味を持ちます。
自民党の総裁選の場合、まず国会議員20人以上の推薦人が必要です。2013年の党規約改正で、党員・党友による予備投票を経た党大会で総裁を選出することになりましたが、「緊急を要する場合」は、両院議員総会で選出することができます。今回は、この「緊急を要する場合」にあたるということで、両院議員総会による総裁選となります。
推薦人20人を確保し、議員による総裁選を勝ち抜くための組織が「派閥」です。国会議員は、総裁選において派閥の「オヤジ」を担いで一致団結して行動する、「オヤジ」」は議員にポストと金を配分するという御恩と奉公の関係です。
石破議員の派閥は19人で、推薦人を集めることができるかも疑問視されています。河野議員は、麻生派ですが、麻生副総理の支持が得られるのかどうか。
「自民党は派閥という名前の保守政党の連合体」「派閥あって政党無し」といわれて久しいですが、2000年頃までは、小選挙区制と小泉総裁という集権的な総裁の登場で、派閥は消滅していくという見方もありました。現状だと、派閥は健在といわざるをえません。
英国式の二大政党制は、議席も地方組織も党のものであり、党首に集権化される、という前提で成り立ちます。党首への圧倒的な集権は、党員全員による選出で正当化されます。
1990年代の「政治改革」なるものは、日本の政党を英国式に変身させて、圧倒的に集権化した総理・総裁がスピーディーな立法と行政を主導する、という目的がありました。どうやら、それは日本には根づきにくいようです。大派閥が無いと首相になれないのであれば、派閥内部の論理が政治家の最優先事項にならざるをえないでしょう。報道によれば、自民党総裁の有力候補の一人とされる岸田政調会長は、8月28日は宏池会の幹部(古賀名誉会長が出席)、29日は谷垣氏、石原伸晃氏、宏池会の若手など、そして30日には麻生氏と会っていたとされます。
おそらくその直後のタイミングだったはずです。NewsPicksが昨夜に実現した単独インタビューで、初めて岸田氏が自民党総裁選への出馬を明言しました。
果たしてどんな人物であり、何を考えている政治家なのか。今週は急遽予定を変更して、「緊急特集ポスト安倍」をお届けします。まずは限られた時間の中で、可能な限り岸田氏に質問をぶつけてきた単独インタビューです。このスピード感で対応できるのがネットメディアのいいところだと思います。内容も読み応えがありました。
岸田氏は私が外務省にいた頃の大臣で、朝登庁する姿を何度も見たことがあります。
実像とイメージはあまり変わらず、国会質問のレクでも穏やかで話を一度できちんと理解し、問題となるような発言はしない、事務方からすれば無駄な手数のかからない人というのが率直なイメージです。
ただ、それが迫力不足に写ってしまうのだろうと思います。
現時点では苦戦が伝えられていますが、この状況下で違う側面を見せれば、評価が変わるかもしれません。
このような挫折体験を見せるのも一つといえるかと思います。