2020/8/28

【直言】成功したければ「カスタマーサービス」をあなどるな

時価総額にして、約1兆円。
8月24日、ハードウェアメーカーのAnker Innovations(アンカー)が、中国の深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板 (ChiNext) 」に上場した。
初日から株価は高騰し、時価総額は24日の終値ベースで9100億円を超える大型上場となった。
アンカーの特徴は、モバイルバッテリーやイヤホンなどのハードウェアを、Amazon(アマゾン)などのオンラインを中心に販売してきたことにある。
「D2C(ダイレクト・ツー・カスタマー)」メーカーの先駆けともいえる存在で、オンラインで得た顧客からのレビューを徹底的に反映し、地道な商品改善を続けてきた。
NewsPicksはアンカーの創業者であるスティーブン・ヤン氏に独占インタビューを実施。上場までの道のりから徹底したレビュー第一主義の秘訣、今後の野望までをたっぷり語ってもらった。
スティーブン・ヤン:Anker innovations 創業者・CEO。北京大学にてコンピューターサイエンスの学士号を取得した後、テキサス大学オースティン校で同修士号を取得。米カリフォルニアのGoogle本社にて検索エンジンのシニアエンジニアとして活躍した後、2011年にAnkerグループを創業。

上場は単なる「ステップ」

──上場先に深圳証券取引所の「創業板(ChiNext:チャイネクスト)」市場を選択しました。
スティーブン 私はアンカーをグローバル企業だと思っていて、将来的には世界の市場に上場するつもりです。
その中で今回、深圳を選んだのは、彼らが我々をとても評価してくれたからです。
上場するにあたって、出席者みんなで同じTシャツを着て臨みました。そこで引用したのは「Success is a journey, not a destination.(成功とは旅であって、目的ではない)」という言葉でした。
この言葉の通り、IPOは小さなステップにすぎません。いずれ米国や日本でも上場するかもしれませんし、ゴールはまだまだ先にあります。
IPOで調達した資金の多くは、R&D(商品開発)に注ぎ込みます。
常に新商品を出し続けるためには、とにかくお金が必要です。今まで挑戦してこなかったカテゴリーにも、これから進出したいと思っています。
──電池やケーブルからスタートして、なぜ時価総額にして約1兆円もの規模にまで成長できたのでしょうか。