2020/8/22

【出口治明】ZOOMだけでは「大学」は維持できない

NewsPicks 金融ジャーナリスト
新型コロナウイルスの影響による移動の制限は、留学生を苦しめている。
日本政府は3月6日、感染拡大を受けて水際対策の抜本的強化を行うと発表。4月3日には米国、中国、韓国などを含めた計73カ国・地域から入国拒否を開始した。
多くの大学はまだ春休み中で、自国に帰省している留学生も少なくなかった。
8月5日に在留資格を持つ外国人の再入国が認められたが、実に4カ月もの間、外国からリモートで授業を受けることになったのだ。
学生の半分を留学生が占める立命館アジア太平洋大学(APU)の出口治明学長は、「大学はキャンパスに通うこと」が重要だと断言する。
出口治明(でぐち・はるあき)/立命館アジア太平洋大学 学長。1948年生まれ。1972年、京都大学法学部を卒業後、日本生命保険に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2006年、生命保険準備会社を設立し、社長に就任。2008年、ライフネット生命保険を開業。社長、会長を務めた後、2018年より現職。読書家として知られ、これまでに読んだ本は1万冊以上。歴史や宗教、哲学に造詣が深く「現代の知の巨人」と称される。2019年の著書『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)がベストセラーに。(写真:佐々木龍)
そうした中で、大学にも通えず、友人にも会えない留学生たちの状況は深刻だ。いまだに1000人近くの留学生が戻ることができず、他の国で学ぶという留学のメリットを享受できずにいる。
コロナによって留学生にどんな影響が及んでいるのか。オンラインで授業が受けられる時代に、「リアルな場所」にこだわる理由とは。
出口学長に話を聞いた。

APUも「異常事態」

──4月から留学生が来日できない状況が続きましたが、8月5日に再入国が認められました。一旦、解決したということでしょうか。