IPOにおけるJ-SOX導入プロジェクト【第3回】非公式「 J-SOXチーム」を作るためのたった一つの方法
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注目のコメント
>主要3者が持つニーズは以下となります。
>・取締役(経営者):上場をスケジュール通りに果たしたい。J-SOX担当者に、必要となるJ-SOX対応を滞りなく進めて欲しい。
>・監査役等:取締役が適切な内部統制を構築しているか確認しなければならない。J-SOX担当者に、監査法人から重要な指摘のない内部統制を構築してほしい。
>・監査法人:適切な内部統制を整備、運用してほしい。J-SOX担当者に、J-SOX監査に耐えうる成果物の作成等を迅速に対応してほしい。
うーん。まず監査役等のニーズに書かれている「J-SOX担当に~内部統制を構築して欲しい」は、そもそもニーズが間違っています。
正しくは、「J-SOX担当に、適切な内部統制の評価をして欲しい」となるべきです。
ただ、実際にこのような勘違いからのニーズが生じることがよくあります。
もっと言えば、法律の要請内容を勘違いしている人が多い。
J-SOX(金商法の内部統制報告制度)は、内部統制の構築を求めているのではなく、内部統制の評価とその結果の開示を求めているだけです。
構築しなければならない、と思うのは「つまり財務報告リスクがあるのは分かっていたけど、それに対する統制構築をサボっていたからIPOに向けてやらなきゃ」という状況でしょう。
しかし、そもそもリスクはゼロにはできません。ゼロにするには「回避」するしかありませんが、財務報告リスクを回避するということは「財務報告を作成しない」ことで回避するということになるので、この答えは有り得ません。
よって、財務報告リスクについては必要に応じて「低減」をしたうえで「受容」するしかありません。
もともと財務報告リスクがあるのを分かっていながら放置していたのであれば、それは「受容」していたということなので、それ自体が間違いとは言い切れません。
受容できるほどにリスクが小さいと言えるのであれば、それを堂々と言えば良いのです。
IPOするから、J-SOXが適用されるから、と実務ががんじがらめになるような統制構築するのはナンセンスです。