爆発被害のベイルート支援で国際会合 315億円余の拠出を約束
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レバノンでは、抗議行動は2日にわたって続いています。2日目は、交通省と労働省が占拠されました。閣僚が2人辞任し、国会議員の辞職も相次いでいます。
315億円、というのは、あくまで爆発事件に対する緊急支援でしょう。従来から、通貨が暴落し、財政がほとんど破綻しているレバノンは、数兆円という規模の借款を必要としています。IMFに借款を申請しなければいけないところですが、IMFに「改革」を求められることを嫌うヒズブッラーが、中国から借款することを主張して、政府は何も身動きが取れずにいます。
レバノンにあっては、「汚職」と呼ばれるものは政治そのものであり、政府の存在意義でもあります。宗教と民族のモザイクと呼ばれるレバノン社会は、多くの宗教と民族が相互不干渉で共存しています。大統領はキリスト教徒、首相はスンナ派、国会議長はシーア派、という役割分担は有名ですが、国家予算も、省庁も、諸々の利権も、これら3つと、その他の多くの民族・宗教の間で分け合います。なお、カルロス・ゴーン氏はキリスト教徒なので、大統領を目指すことはできても、首相には絶対になれません。
各宗教・民族のボスが予算や公務員の職を分配され、それを自分の一族郎党に分配する、というのがレバノンの政治であり、この構造を壊すのが「改革」ということになるでしょう。しかし、そのような全宗教・民族のボスを敵に回して文字通り血を流すことになる「改革」を実行できる政治家や勢力は、レバノンに存在しません。
フランスやIMFが「改革」しなければ財政支援は行わない、といっても、「改革」が実行される見込みなどないので、レバノンは、経済、社会の破綻に向けて一方向に進む以外の展開はむずかしいでしょう。これがきっかけでまた内戦、なんてことにならないで欲しいな。
レバノンでの大規模爆発についてお話しします https://youtu.be/IADTxO4THX0記事中にトランプ大統領の発言として「「レバノン政府に完全で透明性のある調査を行うよう求めた。アメリカはそれを支援するつもりだ」と記されているように、支援国は「公正で信頼できる国際的な調査」の必要性を主張しているが、レバノンのアウン大統領は拒否している。