一時的なものでなく、恒常的な存在に
いまが不確実な時代であることに疑いの余地がない。だからこそ、ごく当たり前のような2つのことが真実となる。
1つは、何に頼ればよいのかを学び直さなければならないということ。もう1つは、他人と異なる考え方ができる能力、つまりクリエイティブに考えられる能力が、単に望ましい能力ではなく、必要不可欠な能力になるということだ。
これらは、一見した印象よりもニュアンスに富んでおり、リーダーがこのニュアンスに気づくこと(あるいは見逃すこと)は、非常に大きな意味を持つ。特に、起業家の場合はそうである。
あなたがまさに今、目の前にある直近の不確実性だけを見ているのであれば、これまでの重要度の高い流れを見逃している。つまり、過去20年の間、私たちが働き、生活する環境はどんどん不確実性を増してきたということだ。
それを示す証拠は、いくつもの年次調査に表れている。たとえば、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の「世界CEO意識調査」や世界経済フォーラム(WEF)の「グローバルリスク報告書」などだ。
PwCの調査によると、CEOの5人に4人(82%)が、自分たちが率いるこの世界を「予測不可能」の一言で言い表した。また、2018年の世界経済フォーラムのリスク報告書では、変化の性質そのものが変化しており、変化がこれまでになく複雑になっていると明言した。
つまり、かつてはもっと一時的なものだった不確実性が、恒常的なものになっているということだ。今後の道のりを予測すること以上に、その道を実際に歩くことがますます困難になっている。
戦略よりもベストプラクティスよりも、クリエイティビティ
興味深いのは、この同じリーダーたちが口をそろえて、これからは戦略ではなく、ベストプラクティスでもなく、ほかのよく注目を集めるものでもないと言っていることだ。むしろ、これからはクリエイティビティだという。
多くの組織は、不確実な時代にはハッチを閉めて、自分たちがよく理解していることから離れずにいるべきだと考える。
しかし、この誤った安全策を自動的に選んでしまう人たちでさえも、真に必要なのは、よりクリエイティブで順応性があり、可変的なアプローチだとわかっているようだ(PwCのCEO調査では、77%がそう答えた)。
最も欠けているのは、それをどう実現するかだ。ここで登場するのが「創造のための3つの行動」である。
この3つの行動は、最初は単純なことのように聞こえるかもしれない。しかし、アドバイザーとして私が見てきたのは、これらを意識して受け入れて習慣とすれば、順応性やクリエイティビティ、レジリエンスを生み出すということだ。
私が言う「創造のための3つの行動」とは、選択、対応、即興である。
1. 選択
選択は非常に影響力があり、迷うこともまた選択だ。不確実な時代に生死を分けるのは、すべての選択において積極的に考え、取り組むことである。
あまりにも多くの場合、私たちは気づきもしないうちに不確実性に操縦を任せてしまう。選択に関して悩み、検討し、再考するということをしないで、ただ行動してしまう。
2. 対応
私たちが選択をする時、そこに潜んでいる危険は、自然に最高の結果が訪れると思い込むことだ。だからこそ、対応は創造において二番目に影響力があり、重要な行動となる。実のところ、対応は新たな選択の始まりである。
対応が特徴的なのは、ほとんどの場合、二つの物言わぬ障害を抱えて始まるという点だ。
選択を行い、その結果がよかった場合、過剰な自信が生じて、対応をする時に警戒を緩める。結果が悪かった時には、前に進むのではなく後戻りし、自分を守ろうとする。不確実な時代には、後戻りはできない。
3. 即興
最後の行動は、不確実性そのものを進んで受け入れて、どの選択も確実ではないと認識し、未知のものを前にしても行動する習慣を育てることである。そうしなければ、即興で行動する人たちに倒されるのを待つことになる。
即興で行動する人たちは、すぐそこにいる。どちらになるかは、あなたの選択にかかっている。
未来への道筋を描く完璧な方法はない
それでも、不確実な時代を生き抜く、完璧な道筋を描く方法はない。その見事な例として、最近のよく知られている事例を一つ挙げておこう。
2020年6月17日、パンデミックという不確実性のなか、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモにジャーナリストのエイミー・ロバックがインタビューし、ニューヨークの学校は秋には再開されるだろうかと尋ねた。
クオモは政治家だが、運営すべき事業がある。ニューヨーク州だ。そして、公立学校は彼の事業の主要部門である。
クオモの答えはシンプルで裏表のないものだった。「私にはわからない。誰かがわかるとも思えない。誰かが、何が起こるかわかると言ったとしたら、私はその人を信じないだろう」
彼の言葉は無遠慮なほどに正直だった。こうした正直さが「リーダーはすべてのことを確実に知っている必要がある」という考え方に、徐々に置き換わっている。
そして、この正直さと並ぶのは、シンプルだが影響力のある行動であり、それらが新しいもの、よりよいものをどう創造するかを規定するのである。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Larry Robertson/Innovation advisor、翻訳:東方雅美、写真:BsWei/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.