【WEEKLY OCHIAI】中間管理職はどう変革すべきか?

2020/7/25
落合陽一と各界のプロフェッショナルによる“ハードトーク”をお届けする「WEEKLY OCHIAI」。本記事は、7月8日に配信された「中間管理職トランスフォーメーション」のダイジェスト記事です。
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年功序列は市場価値を得られない状況を作る

日本の大企業の中間管理職が議論される上で、ヒエラルキー型の組織がひとつの論点として挙げられる。サイボウズ 副社長の山田 理氏は、その組織図の問題についてこう語る。
山田 まず、給与体系が年功序列になっていると、そこに経済合理性がないんですよね。
本来であれば、儲けている人が適した額をもらうのが正しいはず。
「儲ける」というのは市場価値の話なので、人事や経理などの職種も同様です。そこがきちんと機能していれば、その人の役割に応じた金額をもらうことで組織がまわっていく。
ただ、年功序列だと、その企業の中でどう生きていくかというノウハウだけで働いてしまうので、その人の市場価値が得られない状態が作り出されてしまっているんです。

市場原理に従わないなら、もう一つのエコシステムを

今回の議論において、落合氏は終始「(中間管理職が)変われないなら変わらなければいい(自然淘汰されていけばいい)」というスタンスで一貫していた。
落合 結局、変革したいならすればいいし、難しくてできないならそのまま無くなっていくしかない、という話だと思うんですよ。
例えば僕は、職務権限と給与体系と、どんな職に就くかはバラバラでいいと考えるけど、企業に「それができない」と言われたらもう為す術ないじゃないですか。
基本は、市場原理に従うべきなんです。
もしくは、そこでもし従わないのであれば、そことは切り離されたところでちゃんと回るエコシステムを作るべきだと思います。

フロントラインの方が専門性が高くなる時代へ

株式会社ラッシュジャパン 人事部長の安田雅彦氏は、時代の変化とともに中間管理職はさらに苦しい状況になっていくだろうと予測する。
安田 年功序列の組織だと、人数が上がるに従って広がっていくのでポジションを作らざるを得ない。
ただ、いまってすでに現場の人間がいちばんビジネスがわかっているという意識が強くなっている時代でもある。
これはジョブ型やメンバーシップ型の話にも通じますが、フロントラインでやっている人たちの専門性がどんどん高くなっていくでしょう。
加えて、ジェネレーションギャップで5歳違うと、選択するビジネスソリューションやセンスがまるで違う世界になってくる。結果的に、中間管理職がいることで仕事の決裁が遅くなっていってしまう。

定年を50歳に引き下げるべき

健康社会学者で気象予報士の河合薫氏は、取材で中間管理職の抱えるジレンマや課題などを知った上で、中間管理職を変革する上で大きく変えなければいけないことが二つあると語る。
河合 まずひとつは、ヒエラルキー型の組織です。たとえば営業のトップがマネージャーのトップとは限らない。
海外では、経営学の博士号やMBAをもっていない経営者などありえませんが、日本の大企業ではベストセラーがそのまま経営者になる、というようなことが起きている。
もうひとつは、定年引き下げです。
いまは65歳など延長される傾向ですが、むしろ元気がある50歳のタイミングで一度定年を設けて、
そこから数十年培ってきた知識を所属していた企業とともにコミュニケーションしながら、暖簾分けのような形でモザイク型の組織を作っていくことができれば、お互いにwin-winの関係性を築けると思うんです。

30代の経営者が生まれていく仕組みづくりを

デロイトトーマツベンチャーサポート 社長の斎藤祐馬氏は、「日本の中間管理職を変えるボタン」は二つあると言う。
斎藤 ひとつは、スタートアップがたとえば2030年までに時価総額トップ10を塗り替えていくという意味での改革です。
もうひとつは、若い経営者がたくさん生まれやすい状況を作っていくこと。若いうちから経営に携わっている人がトップになった企業って、いい会社が多いんです。
なので、子会社を任せるなど、若いうちに機会を作ってプロ経営者がどんどん生まれていく仕組みを作れば、会社って思っているよりも早く変わっていくんじゃないかと考えています
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