【直撃】なぜ今、Uberは「東京」でサービスを開始するのか

2020/7/6
東京は、念願の市場だった──。
7月3日、Uberが東京でタクシーの配車サービスを開始した。
日本は、世界第2位のタクシー市場でありながら、Uberが苦戦を強いられてきた市場だ。
5年前、福岡市でライドシェアの実証実験が中止に追い込まれるなど、個人が自家用車で運送する本国Uberのスタイルは強い反発をうけた。
ライドシェアではなくタクシー会社と協業する方針に切り替えてから2年あまり。12都市目にしてようやく東京でのサービス開始となる。
コロナ禍で移動ビジネス自体が苦しむ今、Uberはなぜ東京でローンチするに至ったのか。そして、タクシー会社側はなぜ組む気になったのか。
NewsPicksは、Uber日本支社を率いるトム・ホワイト氏と、今回提携を決めたタクシー会社3社のひとつ、日の丸リムジンの富田和宏社長を直撃。両社の真意を聞いた。

念願の地、「東京」

──今回、東京でタクシー配車サービスを始めるに至った経緯を教えてください。
ホワイト 東京ローンチは、我々にとって念願でした。これからは東京でも、アプリからタップひとつでタクシーを呼べるようになります。
今回サービスを開始できるのは、「提携するパートナーを見つけることが出来たから」というのが大きいです。
我々は何カ月にもわたり、たくさんのタクシー会社と議論を重ねてきました。
──日の丸リムジン、東京エムケイ、エコシステムの3社をパートナーに選んだ理由は。
ホワイト 東京にはタクシー会社がたくさんありますが、その全てが、イノベーションやテクノロジーを歓迎してくれるわけではありません。
そんな中で幸運にも、「テクノロジーによって、この業界をより効率化するというワクワク感」を共有できる3社と出会うことができました。
──日の丸リムジンは、なぜUberと組もうと思ったのですか。
富田 日の丸リムジンはハイヤー業を中心に行っている会社で、 ハイヤー352台、タクシー132台を持っています。
富田和宏(とみた・かずひろ)/日の丸リムジン社長

ハイヤーはもともと、法人利用の役員送迎がメインだったのですが、ここ数年間インバウンドの仕事が増えていました。
「Uberを利用したい」という個人の方が都内で多くいたことから、2019年7月、まずはハイヤーでUberと協業をはじめました。
正直なところ、私たちタクシーマーケットにとってUberはどうなのかな、とはじめは危惧していました。アメリカではライドシェアを中心にやっている会社だからです。
ただ、いろいろと情報・意見交換をしながら1年間一緒にやっていくなかで、信頼感が高まりました。
「タクシー会社とともに発展していく輸送サービスをやっていきたい」という方針をUberに強く示してもらったので、こちらとしても一緒にやろうと決断しました。

ライドシェア企業への危惧

──協業する前は、Uberに対してどういう印象を抱いていたのでしょうか。