[ワシントン 29日 ロイター] - 米政府は29日、香港への防衛機器の輸出を停止し、香港によるハイテク製品へのアクセスを制限すると発表した。中国による「香港国家安全維持法」の制定をにらみ、米国内法に基づき認めてきた香港に対する優遇措置の縮小に乗り出した。

ポンペオ国務長官は「香港の自由を奪う中国共産党の決定により、トランプ政権は香港に対する政策の見直しを強いられている」と述べた。

米国は29日から香港への防衛機器の輸出を停止するとし、軍民両用(デュアルユース)技術の輸出停止に向けた措置も取る方針を示した。

長官は「米国は国家安全保障上、この措置を取らざるを得ない。香港と中国本土への統制品目の輸出をもはや区別できない」と述べた。

商務省も、輸出ライセンスに関する例外措置など香港に対する優遇措置を停止すると発表し、香港への特別な扱いを見直す追加措置も検討していると表明。「中国政府に対し、直ちに方針を転換し、香港や世界の人々への約束を守るよう求める」とした。

米国の駐香港総領事を務めたカート・トン氏は、今回の米国の措置について、香港は主要な製造業拠点ではなく、経済のほぼ全てがサービス業であるため、米・香港間の貿易の大部分に影響するものではないとの見方を示した。

また、優遇措置の「停止(suspend)」は「打ち切り(terminate)」とは異なるとし、条件が示唆されていることと整合的だと指摘した。

ワシントンの中国大使館は、現時点でコメントの要請に応じていない。

トランプ米大統領は5月、香港に認めてきた優遇措置の廃止に向けた手続きに入ると発表。即時停止には踏み切らなかったが、犯罪人引き渡しから軍民両用技術の輸出規制まであらゆる措置が対象になり、「例外はほとんどない」と述べていた。

ポンペオ国務長官は今月26日、香港の自治制限に関与した疑いがある中国共産党幹部に対するビザ発給を制限すると発表。これに対し中国は29日、香港に関連した悪質な行動歴がある米国の個人へのビザ発給を制限する方針を示した。

*内容を追加して再送します。