【キャディ加藤】 日本の「町工場」 を今こそ解き放つ

2020/6/22
コロナは日本の町工場にとってチャンス──。
ものづくりの受発注プラットフォームを提供しているCADDi(キャディ)代表取締役CEOの加藤勇志郎氏は明言する。
加藤氏は東京大学卒業後の2014年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、わずか2年半後にマネジャーに昇進した。
そんなきらびやかな経歴を持つ加藤氏が、日本の町工場を救うべく、2017年末に設立したのがキャディだ。
キャディは、町工場を部品の加工技術ごとに分類し、発注元からの注文を最適に振り分けるプラットフォームを運営している。
トヨタ自動車やパナソニックを含む約1600社が利用し、全国各地100社以上の板金屋とのマッチングを日々成立させている。
加藤氏の問題意識には、ものづくりが高度経済成長を支えてきた一方、中小企業を中心に、「下請け」構造というゆがみも生んだことにある。
加藤氏によると、新型コロナショックは町工場の業績を直撃しただけでなく、下請け構造のような長年の課題も浮き彫りにした。だが、同時に日本が変わるチャンスでもあるという。
NewsPicksは加藤氏にコロナであぶり出されたものづくりの課題と処方箋について語ってもらい、日本の産業界に横たわる課題の「本質」に迫った。
日本の技術の「ニューノーマル」を占っていこう。

「平均値」で語れぬコロナショック

──製造業の受発注プラットフォームとして、数多くの企業との取り引きがあるそうですね。キャディが持つネットワークの中で、どのような業種がコロナで影響を受けたのでしょうか。
加藤 一番大きな影響を受けているのは航空機産業です。次に自動車産業で、多くのメーカーが完成車工場の操業を止めた影響が出ています。
納入が後ろ倒しになっている上、新規の受注もどんどん減っていて、6月以降、先が見えない状況です。
言わずもがなですが、人工呼吸器やマスク製造機のような医療器材は需要が急増しています。それから食品製造機械や包装機械のような食品系も需要があります。
例えば、即席麺関連の機械は需要が伸びています。不況になるとカップ麺の需要が増えますので。あとは、一部の半導体装置も伸びています。
板金は電車1車両あたりに1万点、ドアやシートなどあらゆる部分に使われている。板金市場は2兆円。(資料:キャディ提供)
──キャディが今月11日に発表した機械メーカーと町工場約300社のアンケートでは、町工場の3分の2で、売り上げが2割以上も減少したとのことです
これについては、「平均値」で語ってもあまり意味がありません。