【新】人生のパフォーマンスを高める「人情経済学」の教え

2020/6/12
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場する山村英司氏は、「義理と人情」にもとづく人間行動の研究を行う、気鋭の経済学者だ。
「人情」という言葉には、なんとなく「不合理」という響きがつきまとう。だが、果たして本当に不合理なのだろうか……?
例えば、立ち食いそばチェーンの「名代富士そば」は、「人を大切にする会社」として知られている。従業員には手厚い給料を支払い、アルバイトにもボーナスを出す。さらには、入社面接に来た人に社長が気前よく食事をおごっていたこともあるという。
(西村尚己/アフロ)
これらは一見「不合理」な行動だ。普通に考えれば、意味のないコストがかさめば、会社はつぶれる。
しかし「富士そば」にその兆候はなく、繁盛している。これは、無意味に思えるコストが、実は非常に重要な投資となっており、社員の心をわしづかみにするからだ──と山村氏は言う。
つまり、並外れて「人を大切にする会社」に対し、従業員は自然と恩義を感じる。そして、「義理」を果たすためにヤル気満点で働くのだ、と。
このように、これまで「しがらみ」や「ウザいもの」として退けられがちだった義理人情の「経済効果」が、今改めて注目されている。その最新の知見を、今日から3回に分けて紹介していこう。
山村英司(やまむら・えいじ)●1968年、北海道生まれ。西南学院大学経済学部教授。専門は行動経済学、経済発展論。初の著書『義理と人情の経済学』(東洋経済新報社)が話題。
人情とは「合理的」な感覚だ