[東京 9日 ロイター] - 東京商工リサーチが9日に公表した「上場企業 資金調達状況調査」によると、新型コロナウイルス感染拡大の対応として、8日までに金融機関などからの資金調達を公表した上場企業は171社、総額は9兆6758億円だった。最大の資金調達額はトヨタ自動車<7203.T>の1兆2500億円。新型コロナの長期化に備え、運転資金の確保を急ぎ、手元資金を厚くする動きが広がっている。

1000億円以上の資金を調達したのは26社だった。このうち自動車メーカーは6社で、世界的な市場縮小と減産を見据え、コミットメントラインなどを新たに設定し資金需要に備えている。そのほか、キャッシュフローの悪化を見込む鉄鋼関連、減便で収益悪化が深刻な航空大手2社、輸送人員の減少などが響く西日本旅客鉄道と九州旅客鉄道のJR系2社などが、1000億円以上の大規模な資金調達を公表した。

業種別では、一番多かった製造業が全体の約3割を占める結果となった。グローバル展開する大手企業が多く、世界的な景気悪化の直撃に備えるため資金を調達した。次いで、インバウンド消失や旅行自粛の影響を受けたサービス業、休業や営業自粛に追い込まれた小売業がそれぞれ約25%、22%となった。

(新田裕貴 グラフ作成:田中志保)