[ワシントン 8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は8日、中小企業向け「メインストリート融資制度(MSLP)」の条件緩和を発表した。融資額の下限を50万ドルから25万ドルに引き下げるほか、融資期間を4年から5年に延ばし、より多くの企業や銀行が制度を活用できるようにする。

FRBはまた、プログラムへの参加登録を近く開始するとし、銀行は登録後、「直ちに」中小企業への融資が可能になるとした。

パウエル議長は発表文で「中小企業が事業を再開し、労働者を再雇用できるよう支援すれば、広範囲にわたる景気回復を促す一助になる」との認識を示した。

今回の条件変更については「困難な局面で雇用を支えるMSLPの機能が高まると確信している」と説明した。

融資額の下限を巡っては一部の銀行や専門家の間で、新型コロナウイルス流行の打撃を受けた多くの企業を支援するには50万ドルでは大き過ぎるとの声が上がっていた。

融資期間は5年に変更され、借り手は最初の2年間は元本の返済が猶予される。当初は融資期間4年で、元本返済猶予は最初の1年とされていた。

このほか、FRBが銀行から買い取る融資の比率についても、当初は融資の種類によって85%または95%としていたが、今回の変更により、全ての融資を対象に95%を買い取るとした。一部の小規模銀行はこれまでに、融資によって過度のリスクを負うのではないかと懸念を示していた。

オクラホマ州の銀行、シチズンズ・バンク・オブ・エドモンドの最高経営責任者(CEO)はFRBの発表後、ツイッターへの投稿で、融資額の下限について25万ドル未満を必要とする企業もあり、依然として引き下げが不十分な可能性があるとの見方を示した。

また、法律事務所ステップトー&ジョンソンの金融サービスグループの幹部は、制度の調整はこれまでに対象となっていた借り手からの需要増加につながらないとみられると指摘。一部の企業は借り手の情報開示や幹部報酬、配当支払い、自社株買いの制限などによって、利用を避ける可能性があるとの見方を示した。

*内容を追加しました。