(ブルームバーグ): トランプ米大統領は28日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)企業に与えられている免責による保護を制限する大統領令に署名した。ツイッターが大統領の投稿に対し読者にファクトチェック(事実確認)を促す警告を付け始めたことを受けた措置。

現在の法律ではツイッターやフェイスブックなどの企業はユーザーの投稿に対する責任を免れている。トランプ氏は署名前にホワイトハウスで記者団に対し、この大統領令は「検閲や政治的行動を行うソーシャルメディア企業が免責による保護を維持できなくするよう、米通信品位法(CDA)230条の下で新たな規制を求めるものになる」と語った。

ツイッターは今週、郵便投票に関するトランプ氏の2件の投稿について「誤解を招く恐れがある」としてファクトチェックを促す警告を付記し、大統領のコメントに関するニュースへのリンクを提供した。これに激怒したトランプ氏は、ツイッターが検閲と選挙への干渉を行っていると主張した。

トランプ氏はこの日、「米国民の言論の自由を守り、維持するために大統領令に署名する。現在、ツイッターのようなソーシャルメディアの巨大企業は前代未聞の免責が認められている。中立的なプラットフォームだとする理論に基づいたものだが、これら企業はそうではない」と語った。

トランプ氏はさらに、今回の大統領令あるいはそれに伴う規制に対し訴訟が提起されると予想していると述べ、自身がツイッターを閉鎖することが合法であれば「そうするだろう」と言明した。

同席したバー司法長官は、大統領令が免責による保護をSNS企業に与える通信品位法230条を撤廃するものではないと説明した。

「言論の自由を脅かす」

大統領令署名の発表後、ツイッターの株価は時間外取引で一時1%弱上昇した。通常取引終値は4.4%安と、4週間ぶりの大幅下落だった。

ツイッターは大統領令について、通信品位法に対する「反動的かつ政治色の強いアプローチだ」とコメント。「一方的にそれを損なおうとする試みはオンライン上の言論とインターネットの自由の未来を脅かす」と付け加えた。

フェイスブックの広報担当者は、企業の法的保護を制限することは、意見の分かれる議論を認める媒体を罰し、「プラットフォームに対し誰かの気分を害する可能性があるものは何でも検閲するよう促す」恐れがあると述べた。

大統領令によると、米商務省は司法長官と協力し、新規制を策定するよう60日以内に米連邦通信委員会(FCC)に要請する責務を負う。

FCCのパイ委員長は発表文で、「この議論は重要だ。FCCは商務省からのルール策定の要請を慎重に検討する」とコメントした。

原題:Trump Signs Social Media Order After Twitter Fact-Checks Him(抜粋)

(ツイッターの株価やコメントを追加して更新します)

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