【核心】米中対立に翻弄される「香港の自由」の危機

2020/5/28
米中対立のはざまで、香港が翻弄されている。香港の対米接近を危惧する中国政府が「強硬措置」に打って出たのだ。
5月21日。中国の「国会」に相当する全国人民代表大会(全人代)で、香港にとって衝撃的な方針が発表された。
「香港国家安全法」の制定である。この法律によれば、中国政府が「国家安全に関する機関を香港に設置する」ことも可能になる。
中国政府が「法律に基づいて」民主派の取り締まりを始めれば、一国二制度で保証されてきた香港の「高度な自治」が根底からひっくり返りかねない。
香港国家安全法の成立は確実で、6月ないしは8月にも施行される見通しとなっている。
民主派はこれに反発し、2019年から続いていたデモなどの抗議活動が再び活発化しているものの、かつてのような勢いはない。
香港はこのまま「自由」を失ってしまうのか。
現地事情に詳しい遊川和郎・亜細亜大学アジア研究所教授が、香港問題の本質を分かりやすく解説する。