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「FOMCって何だったっけ?」という方に向けた解説です。

米国連邦準備制度は3つの金融政策ツールを持っています。(1)公定歩合(国の銀行が一般の銀行にお金を貸す際に適用される金利を決める)、(2)準備預金制度(一般の金融機関が持つ預金のどれだけの割合を国の銀行に預け入れさせるように義務付けるか)、そして、(3)公開市場操作(国の銀行が証券売買をすることで市場で流通する資金量を増減させる)です。

米国では(1)と(2)は連邦準備制度理事会が決定し、この記事で取り上げられている(3)はFOMCが担当します。

FOMCが重要なのは、短期的な公開市場操作の方針がここで示されるからです。また、ここでは経済・金融状況の評価や景気観測が話されるので、4月末のFOMCは米国政府の金融政策担当者らが新型コロナウイルスの経済への影響をどう分析しているかを知る上で一つの重要なデータポイントになります。

…とは言ったものの、この委員会が行われたのは既に3週間も前になるので、若干情報の鮮度が落ちていることは否めません。丁度この委員会が開催された頃から米国各州は徐々にロックダウン解除を開始し始めているため、今後の政策判断をする上ではこの3週間の経済活動再開がどれほどの経済影響があったかの分析・評価が重要になってきます。

この議事要旨の原文は13ページと比較的短いので、どのようなセクション分けがされているのか、他に何が議論されたか等、ざっと目を通してみると面白いかもしれません。

【FOMC議事要旨原文(4/28-29)】
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20200429.pdf
これだけ事態が流動的だと、3週間前のFOMCによる現状評価でも陳腐化してみえてしまう部分もありますが、先行きに関して、FOMCメンバーも執行部も感染第二波のリスクも含めて慎重な見方が支配的だった点は印象的でした。

また、既に配信したレポートでもカバーしましたが、全会一致で現状維持を決めた割には追加緩和手段に関して活発な議論が行われ、市場の一部が事前に予想していたように、フォワードガイダンスの強化についてオプションが提示されていました。

私個人は、中短期ゾーンのイールドカーブコントロールが少数派ではありますが再度提示されたことが興味深く思います。今回の議事要旨に正しく指摘されているように、これはフォワードガイダンスを強化する効果もある点で相互補完的に運用できます。
FRBのリスクシナリオは相当厳しいものを想定しているようです。金融政策総動員で臨むとのこと。

「短中期的に第2波が来る可能性が高い」と指摘し、中期的にも「著しいリスク」がもたらされるとの認識を示し、金利をゼロ付近に据え置き、経済下支えに向けてあらゆる手段を行使すると表明しています。
FRBが景気下振れリスクに備えつつ緩和的な金融政策を維持するというのは既に多くが予想するところなので「米経済が回復基調に向かっていると確信するまで政策金利をゼロ付近に維持することで改めて一致した」ことに意外感はないですが「利用すれば初めての試みとなる」「長期金利の上昇抑制」も議論されたんですね・・・ (@_@。
当初の想定より長引きそうな景気停滞を背景に長期金利は当面低位にとどまるでしょうが、感染拡大が収束すれば緩やかながらも上昇に向かうはず。経済の体温計で中央銀行が操作するのは適切でないとされていた長期金利の抑制に、そのときFRBは動くのか。「マイナス金利政策については議論しなかった」とのことですが、FRBまで長期金利の抑制に動いたら、先進国の主な市場から長短問わず金利が消えてしまいそう。新型コロナウイルスは金融面でも伝統的な世界に別れを告げさすか (・・;
期日付きフォワードガイダンスの検討、ターゲット資産のフォワードガイダンスの検討が行われ、マイナス金利の検討は行われなかったようです
4月のFOMC議事録が公表されました。

「新型コロナが短期的に経済活動や雇用、物価に相当な重荷となり、中期的な経済見通しにかなりの下向きリスクが伴うと指摘。物価が長期目標の2%に戻るのはさらに長引く見込みとした。」
新型コロナウイルスの経済への影響。長引くことになるとの見方のようです。