【独占】なぜ、コロナ対応した病院が「赤字」になるのか

2020/5/20
国内の新型コロナウイルス感染症の収束がようやく見えてきたが、治療にあたる医療機関では、今も苦しい戦いが続いている。医療用マスクや防護服といった医療資材の不足や、容体の急変もあり得る新型コロナ特有の治療の難しさに加え、医療機関を苦しめているもう一つの要因がある。
感染患者の受け入れに伴う、大幅な収益減だ。
全日本病院協会など3団体による調査によれば、全国の医療機関のおよそ8割で経営が悪化しており、特に新型コロナの患者を受け入れた機関ではより深刻な状況だという。
なぜ、新型コロナという新たな脅威への救済に名乗り出た病院が、経営難に陥ってしまわなければならないのか。
最も初期の1月下旬から患者を受け入れてきた感染症の指定医療機関、聖路加国際病院(東京都中央区)の福井次矢院長がNewsPicks編集部の独占インタビューに応じ、患者数の推移や収益に関する生データを明かして実情を語った。

国内発症2例目の患者から受け入れ

──まず、新型コロナウイルス感染症の患者さんの受け入れ状況を教えてください。
福井 最初の入院は1月22日、日本に観光に来ていた中国人の方で、日本で発症した2例目の患者さんでした。2月にはクルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号の患者さんも受け入れましたが、入院患者数は1、2人で推移していました。