[ワシントン/北京 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、今年初めに署名した中国との第1段階の通商合意を見直す再交渉は全く受け入れられないと表明した。

これより先に中国共産党系メディアの環球時報は、米国と結んだ「第1段階」の通商合意について、国内の交渉担当者らから見直しを求める声が上がっていると報じた。[nL4N2CT3L2]

トランプ氏は新型コロナウイルス流行についての記者会見で、中国の一部の助言役が求めているとされる第1段階通商合意の再交渉を受け入れる可能性を問われ、「それは全くない」と応じ、「私には関心がない。私たちは合意に署名した。私の耳にも入っている。中国側は通商交渉を再開して、自分たちに有利な合意にすることを望んでいる」と指摘した。

トランプ政権は新型コロナの発生源が武漢のウイルス研究所であることを示す証拠があると主張しているが、環球時報によると、ある交渉担当顧問はこうした米国の悪意ある攻撃が「怒りの津波」を招いていると述べた。

さらに中国は第1段階合意の際に妥協しているが、米経済の落ち込みや今年の米大統領選を踏まえ「実際のところ合意を打ち切ることが中国の利益にかなう」と同顧問は指摘。「全てがやり直しとなれば、米国に貿易戦争を再開する余裕などない」との見方を示した。

米中貿易交渉で積極的な役割を担った経験のある元ホワイトハウスの通商助言役クリート・ウィレムス氏は、知的財産権の保護など、中国は第1段階通商合意の大半の規定を順守していると指摘し、「第1段階で合意したことを今あきらめるべきでないと思う。これまでのところポジティブな結果が得られている」と述べた。

*内容を追加しました。