全自動で行うPCR検査−日本メーカーも主役の一つ、ガラパゴス利権で使用出来ず: 院長の独り言
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国立感染症研究所が公開している病原体検出マニュアル 2019-nCoV ver.2.9.1(https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf)には、RNA抽出についてはたしかに独QIAGEN社の「QIAmp Viral RNA Mini Kit」が載っていますが、「広く使用されている QIAamp Viral RNA Mini Kit を用いた方法を示すが、他のウイルス RNA 抽出キットを用いてもよい。」と書かれているとおり、あくまで例としてでているだけで、他のキットを使ってもいいとされています。つづく、2-step RT-PCRでも米Thermo社の試薬がでていますが、「例として SuperScript IV Reverse Transcriptase (Thermo)および Quick Taq HS Dymix (Toyobo)を用いた反応条件を示す。」と書かれているとおり、一般的な試薬をつかって判定のフローを示しただけで、他の試薬を使うことがダメというわけではありません。
なので、この記事で言われているような厚労省/感染研ガラパゴス利権という指摘は明らかに間違っています。
とはいえ、ただでさえ忙しい現場が、感染研のプロトコールで示されている試薬以外のキットを使って、感染研のプロトコールと同等の再現性を確認したうえで、より効率的な検査体制を敷けるかというと、厳しいでしょう。これは、民間の検査会社でも同様です。単なるキャパ不足です。
韓国や中国は、DNA/RNAの受託解析をやっている企業が多く、すでに設備が導入されていて大量検査の技術が確立しています。日本にもそういう企業はなくはないんですけど、韓国や中国に出すほうが安いです。ロボットを大量導入して大量検査体制を敷くのは一つのアプローチかもしれません。でも案外、すでに感染が収束している(と謳っている)韓国・中国に頭をさげて、日本の検体を受託解析してもらうほうが早いかもしれないなと思いました。