[東京 7日 ロイター] - 任天堂<7974.T>は7日、2021年3月期の連結営業利益が前年比14.9%減の3000億円になりそうだと発表した。ゲーム機「スイッチ」の販売数について、ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」のヒットで好調だった前期実績より少なく予想しているほか、為替円高の影響を見込んでいる。減益となれば4年ぶり。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均は3778億円。

古川俊太郎社長は電話会見で「極度にコンサバ(な予想)にしている気はないし、足元でスイッチの需要がすごく高まってるので、そういう勢いを反映した」と述べた。

同社は1月に、20年3月期の通期見通しを上方修正したが、上振れて着地した。古川社長は、1―3月期は「あつまれ どうぶつの森」の発売による「一時的なインパクト」が想定以上に大きかったと説明し「この分を差し引けば、1月に修正発表した(20年3月期の通期)予想に比べても、(21年3月期予想の)営業利益3000億円は、ほぼ横ばいの数字」との認識を示した。スイッチは「これまでとは異なるライフサイクルの成長を目指せる可能性があるという考えに変更はない」という。

21年3月期のスイッチの販売数予想は前年比9.6%減の1900万台、ソフトの販売数予想は1億4000万本とした。想定以上に好調だった20年3月期の実績に比べ販売数は落ち込むが、この予想は20年3月期の期初見通しのスイッチ1800万台、ソフト1億2500万本は上回っている。

同社の業績予想ではコロナの影響について、夏頃には製造に対する影響は一定程度収まるとの前提に基づいている。生産・販売数量の減少が一定期間見込まれるが、通期では需要に応じた生産・販売が可能としている。

一時滞っていた生産や出荷は徐々に回復しているものの、必要な部品の調達への支障が長期化するリスクがあるとしたほか、在宅勤務では商品開発で「会社で作るのと環境が違うので同じ効率求めるのは難しい」(古川社長)という。

任天堂の予想についてエース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「保守的」と受け止めている。コロナで開発が遅延するリスクがあるとし「どの程度のボリュームになるか予想を示しにくいのではないか」(安田氏)と指摘している。

売上高予想は同8.3%減の1兆2000億円、当期利益予想は同22.7%減の2000億円とした。前提為替レートは1ドル105円、1ユーロ115円。年間配当予想は1株あたり840円。

<1―3月の営業利益は3倍、「あつ森」が牽引>

20年3月期は増収・増益で、営業利益は同41.4%増の3523億円と11年3月期以来の高水準となった。携帯ゲーム機「スイッチライト」を投入したほか「ポケットモンスター」や「どうぶつの森」の新作といったヒット作が牽引し、販売数はスイッチが前の年に比べ24.0%増の2103万台、ソフトは1億6872万本だった。

とりわけ、1―3月の3カ月間の営業利益は894億円で、前年同期の3倍と大きく伸長した。各国でステイホームが奨励された時期に発売が重なった「あつまれ どうぶつの森」のインパクトが大きかった。

期末配当予想は820円(従来予想620円)とし、年間配当は1090円とした。前の期の実績は810円。

*内容を追加しました。

(平田紀之)