【3分解説】スタートアップの「春」が終わる
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私の周りを見渡してみると、スタートアップは、事業領域によって3つのタイプに分かれ、それぞれ全く状況が違います。
第1のグループは、今回のロックダウンによって事業領域そのものが停止しているケース。東京オリンピックによるインバウンド需要を取り込むべくアクセルを踏んでいたスタートアップでは、1月と比べて4月は売上が95%以上落ち込んでいる例もあります。
このような需要消滅は、スタートアップだけでなく、連日報道されている飲食店や航空会社も同じです。これは不可抗力であり、経営陣が優れていても避けられるものではありません。政府の緊急融資などで、とにかく事業と雇用を守ることが優先です。
第2のグループは、ロックダウンによって、むしろ売上が増加しているケース。こうしたスタートアップは、産業のデジタル化(DX)の推進役であり、ロックダウンによって産業の変革がむしろ加速する波に乗っています。
これもスタートアップだけでなく大企業でも同様です。AmazonなどのEC、Uber Eatsなどのデリバリー、Zoomなどのビデオ会議の急成長は連日報道されていますし、日本ではこれからオンライン診療も伸びてくるはずです。
第3のグループは、上記以外のケース、つまり幸運にも需要消滅は免れているが、といって成長が加速しているわけでもないケースです。スタートアップは赤字覚悟で急成長を目指す存在ですので、この場合には相当の経営手腕が問われます。
急成長を目指せる別の事業領域にピボットするのか、それとも今の領域に留まり、再び急成長が目指せるタイミングまでコスト削減と資金調達で耐えるのか、取りうる戦略は大きく分かれ、後になってみないと正解はわかりません。
このようなとき、シリコンバレーの有力VCであるYコンビネーターから、Airbnbが出資を受けた時のエピソードを思い出します。
Yコンビネーターは、Airbnbのビジネスモデルに懐疑的だったのですが、創業者たちが「コーンフレークを販売して生き延びた」という話を聞いて、「ゴキブリみたいだな!」と感心して出資を決めたそうです。
このエピソードは、起業家はどれほどの困難に直面してもとにかく生き残ることが大切だということ、投資家はどれほど優位な立場でも新しいビジネスモデルに謙虚であり続けることが大切だということを、私たちに教えてくれます。総論として、やや煽り過ぎに感じられる記事であった。
第一に、まだこの議論は早すぎる。
今は日本も含めて世界中でロックダウン、行政によって強制的に需要消滅させられている最中。ある種のパニックの中にあり、米欧等ではその解除議論がようやく始まったもののその戻り方も不透明であり、したがってコーポレートマネーに限らずベンチャーキャピタル含めていまいまは短期的にリスクオフ、投資フリーズしている状況。それを持ってしてブームが終わった、と論じるには早すぎる。
第二に、ブームが終わるというなら、それはそもそもBefore Covidから終わっていた、というのがフェアな物言いだろう。コロナがなくとも今年の統計数値は下がっていただろう。それと、ロックダウンによる短期的なリスクオフとは議論は分けるべき。
第三に、これが最も重要だが、今までのブームと今回は決定的に違う。ネットかDXかの違いである。
前回リーマン、ライブドア・ショックのブーム終焉までのスタートアップブームの担い手はネット系(ゲーム、アプリ含む)が八割、九割だった。
しかし今は逆、それらは1割もない。いまのスタートアップはテクノロジーやイノベーションによってリアル産業のデジタルトランスフォーメーションや効率化や再定義を行うものをスタートアップという。
前者のネット系スタートアップと組んで意味のある大企業ははっきり言えば通信会社くらいなもので、製造業も金融もほとんどメリットはなかった。ゆえにブームでありブームは終わる。
しかし今は違う。どちらにせよ大企業はDXに取り組まねばならない、イノベーションは死活問題である。そしてそれに比較的得意なスタートアップという生き物との共存はやめるというわけには行かない。ゆえに、是々非々で見極めるがやめずにやり続ける、これが正解、「さらば」は不正解である。資金が調達できるorできない企業の2局化が進み、新陳代謝を含めた淘汰も起こる。スタートアップに限らず、資金調達環境は冬の時代になるのは間違いない。
しかしながら、スタートアップの火は消してはいけない。
かつてのSONYもHONDAもAppleもGoogleも皆スタートアップだった。
次の歴史を作り出すスタートアップの火が消えないことが大事。
大企業のDX推進にもスタートアップの力は必要。
リーマンショック時と比較すると、独立系VCを始め、セレクティブではあるが、しっかり継続投資する投資家も多くいる。
世の中に必要とされる事業であり、いち早くこの状況に変化適応できる会社が生き残り、次の時代を力強く推進していく。
この局面において、経営者の舵取りや手腕が試される。